【高校野球 】清原和博、松坂大輔、吉田輝星から無名の戦士まで……あの夏を追体験する書籍5選

元永知宏「補欠のミカタ」徳間書店

 現役時代にはレギュラーになれなかった甲子園出場校の監督にスポットを当てた1冊。レギュラーにはなれなかったからこそ見えてきた指導法や、影からチームを支えてきた経験、「見てるぞ!って、示してあげることが愛情だと思います」「野球を通じていろんな経験をしてくれたらいい」「後悔をそのままにしておくわけにはいかなかった」それぞれの監督が自らの経験を伝えてゆく。

 そしてコロナ禍で目標を失ったチームとどう向き合ったのか。あの時、レギュラーになれなかったからこそ強いチームができたのだ。そう言い切る素晴らしさ。これが高校野球だ。

監修・松坂大輔「甲子園に行くのが夢だった」飛鳥新社

 ケガで諦めざるを得なかったピッチャー、息子の応援をする母親、コーチに転向した選手、甲子園を巡るドラマは優勝した高校の選手以外にも必ずある。

 多種多様なエピソードは主人公ですらも起きる展開も、全てが違っている。

 しかしながら、勝者以外の物語は残念ながら、人の目につくことは滅多にない。

 そして目指した場所にたどり着けなくても、彼らの物語はこれからも続いていく。彼らはこのドラマを経て、後の人生をどのように生きていくのか。一度も野球の応援に行ったことがない人でも彼らのドラマに触れて、共感できる部分があるはず。甲子園という舞台を引き立たせている、普段見ることのできない陰の立役者たちの生き様を刮目できる一冊である。

 運転免許資格のコーナーでかれこれ1時間は佇む坊主頭の少年。足元には大きなバッグ。
彼を見るとページをめくっていなかった。焦点の合わない目で本の向こう側をぼんやり見ていた。売り場に出そうとしていた資格書をそっと台車に戻しレジに入った。

 当店が担当している教科書販売の出場校は県大会準々決勝までに2校勝ち上がっていた。
果てしない櫓の先に甲子園が霞んでみえていたのにあっけなく終わってしまった。勝ち上がった高校も甲子園では初日に姿を消した。その過程で振り落とされ、零れ落ちてしまった彼らもまた、どこかの本屋で佇むのだろうか。

免許かな
髪型の本かな
ディズニーランドかな
暑い夏はまだまだ続く
本屋はどこだって、いつだって、これからの君たちを応援するよ。
本屋へGO!

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