漫画家・ヒロユキ ラブコメ界の大御所が語る「ロレックスに出会い再起できた」ピュアすぎる腕時計愛と超貴重コレクション 

再度漫画を描く気持ちにさせてくれたロレックス

 初の週刊連載となった『アホガール』はアニメ化され、月刊誌への移籍を経て、平成30年(2018)に連載を終えたヒロユキ。連載中は一時的な体調不良にも見舞われるなど苦労も多く、無事に完結させた喜びは特別なものだったという。しかし、足掛け6年にもわたった連載生活は、まさに漫画漬けの日々。一種の燃え尽き症候群のような状態に陥ってしまったのである。

「連載が終わってしばらくは、働く意欲が起きなかったんです。けれども、周りから求められるものは過酷な週刊連載… 現在のモチベーションで過酷な仕事は、とてもじゃないけれどできない……と思い、1年ほど仕事を休んでいたんですよ」

 漫画から離れ、本を読んだり、動画を見ていたというヒロユキ。そんなある日、目に留まったのがYouTuberのHIKAKINの動画であった。HIKAKINはロレックスのコスモグラフデイトナやパテックフィリップのノーチラスをはじめ、数々の高級腕時計を所有し、動画で披露しながら魅力を語っていた。ヒロユキはふと思い立ったのだという。

「HIKAKINさんが手にする腕時計は、どれも桁違いに高額なもの。僕は今までお金を稼ぐだけで、使うことにあまり興味を見出してきませんでした。動画を見て、お金を使う楽しみってどんなものなんだろう、と思いました。そして、ロレックスの『ヨットマスター37』を買ったんです。腕時計では初めて100万円を超えた買い物だったので、手にした瞬間『俺はこんなものを買っていいのか~!?』と全身が震えましたね。あの時ほど感情が揺れ動いたことはないかもしれません」

 ヒロユキの勢いは止まらない。コスモグラフデイトナ、スカイドゥエラー、エアキングなど、ロレックスを6本ほど購入。そして、時計を手にする喜びを味わう中で、じわじわと漫画を描く意欲も高まっていったというのだ。

「1年間で6本もロレックスを買ってしまい、ある時、『買い過ぎた~! このペースで買ったら貯えがなくなる、やばい!』と、ふと我に返りました。お金を使ったから働かなきゃ、と思って出した企画が『カノジョも彼女』なのです。このロレックスたちは、漫画を描く気持ちを思い起こさせてくれた大切な腕時計ですね」

 かくして、令和2年(2020)から『カノジョも彼女』の連載が始まったわけだが、HIKAKINの動画とロレックスがなければ、異色のラブコメ漫画が生まれなかったと思うと興味深い。

ロレックスのクロノグラフの傑作であるコスモグラフデイトナ、しかも最上位モデルのプラチナ製である。文字盤の色合いから“アイスブルー”と呼ばれ、インデックスはバケットダイヤ。「ロレックスの中でも別格。文字盤の美しさが段違いです」と、ヒロユキも絶賛する。「青空の下で文字盤を見たときの奥行きを感じさせる透明感は、他のロレックスでは味わえない美しさ。何より“顔”がいいですね」
筆者のコレクション。『カノジョも彼女』の掛時計。クォーツ時計なので、ぜんまいを巻く必要もなく、おそらくパテックやランゲの時計よりも正確に時間を刻むだろう。こうしたかわいらしい掛時計がゲームセンターの景品として入手できる。まさに、技術革新の象徴といえるのではないだろうか。

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