俳優・岸井ゆきのが語る、フィクションの世界に惹かれる理由 初のフォトエッセイ『余白』刊行

物語の中に自分が存在している感覚


――今回の本を読んで改めて感じたのが、岸井さんのあふれんばかりの映画愛でした。エッセイで「私はもう、映画を見ないで現実に耐えることができない体に、なっている」と語るほどなくてはならないものであり、私服ファッションなども影響を受けていて、映画は岸井さんにとって大きな存在です。最近見て影響を受けた作品はありますか。 

岸井:ヨアキム・トリアー監督の「わたしは最悪。」と、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「リコリス・ピザ」。 

 「わたしは最悪。」は、去年のカンヌ(国際映画祭)に出品された作品で……、本当に、うん、面白かったー(笑)。 

――いまの、映画を思い出している岸井さんの表情だけで面白さが伝わってきました(笑)。 

岸井:PTA、ポール・トーマス・アンダーソンは本当に大好きなんですけど、今回の作品はちょっとびっくりしました。「マグノリア」や「インヒアレント・ヴァイス」などのこれまでの作品とはちょっと違う感じで。もっとズンって重いものが待っているのかなと思っていたら、けっこう大衆に開いているような作品だったんです。 

――それは何だか、いまの岸井さんと重なる部分がありますね。 

岸井:そうなんです。「え? PTAもそっち行くんだ」みたいな(笑)。じゃあ、私も頑張ろうという気持ちになれたんですよね。 


――岸井さんは役者として演じるだけでなく、ふだんから映画や舞台を見たり、本を読んだりされて、たくさんの物語を取り込まれています。きっとフィクションの世界が好きなのだろうなとお見受けしたのですが、フィクションの魅力ってどんなところにあると思いますか。 

岸井:私の場合は、物語の中に自分が存在しているという感覚が好きなんだと思います。物語に触れているときは、自意識はあるんだけど、自分が日本人で、女の子で、30歳でとかは全部忘れられちゃうんです。 

 例えば「リコリス・ピザ」を見ていても、時代も人種も違うのに、確実に私もその世界にいるような感じがするんですよね。その世界に自意識はあるけど、実体、肉体はないという感じがすごく好きです。そういう世界ばっかりに遊びに行っているから、「30歳ですね」とか言われても、「ええ、そうみたいですね」って、ちょっとどこか他人事のように思えてしまうのかもしれません。 

――とはいえ、今年で30歳。30代をどんな10年にしていきたいですか。 

岸井:これからの10年……。うーん。あまり未来を見据えた行動って考えていないんですよね。それこそ、地球が滅亡するかもしれないですから(笑)。いつ何が起こるか、分からない。だから、10年後、20年後といった先のことをあまり上手く考えられないところがあります。ないものや起こってもいないことを考えるのって不安ですよね。それが現実のこととなると、やっぱりしっくりこないんです。なので、未来といっても、わりと数ヶ月後の近い未来のことだけを考えて生きています。

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