『東京卍リベンジャーズ』最終章は蛇足ではない 「“オレたち”のリベンジ」に込められた意味を考察

“リベンジャーズ”というタイトルの「複数形」が意味するものとは?

 第242話は、いま本稿を書いている時点での最新話のため、さすがに詳しい内容を記述することは避けるが、この回でタケミチはある“決意”を表明する。その場面を読めば、この漫画のタイトルが、『東京卍リベンジャーズ』という「複数形」になっていることがようやく理解できるのである。

 ちなみに、これまで読者の多くは(私もそうだが)、タイトルが複数形であるのは、タケミチの他にもタイムリーパーがいる、ということを示唆しているのだと考えていたのではないだろうか。実際、くだんのマイキーや稀咲、あるいは半間修二や千堂敦など、自身がタイムリーパーか、そうでないにしても、“何か”を知っているように見える、いわば “黒幕”的なキャラクターは、これまで何人も登場している。

 だが、前述の第242話で、タケミチは彼のもとに集まった仲間たちに向かって“ある目的”を掲げ、それを「“オレたち”のリベンジだ」といいきっているのだ。

 つまり、『東京卍リベンジャーズ』とは、「複数のタイムリーパー」のことを意味するのではなく、その場にいた、「タケミチと彼に突き動かされた人々」のことを指しているのではないだろうか(さらにいえば、これなら、「東京」はもちろん、「卍」という文字がなぜタイトルに含まれていたのかも理解できる)。

 だとすれば、決してこの最終章の展開は蛇足などではない。むしろ、作者が最初から想定していた“描かれるべき”物語だったともいえるだろう。

 そういえば、第8話(第2巻所収)で、千堂敦がタケミチに、「過去に戻って オマエが助けたいのは“アイツ”か…(中略)“究極の愛”だな」といっているのだが、この場面などは、普通なら「アイツ」ではなく、「橘(日向)」(もしくは「彼女」)というべきところだろう。しかし、主語をあえて濁していっているということは、敦が思い浮べた「アイツ」とは、日向ではなくマイキーのことだったかもしれないのである(なお、この時の敦は、明らかに“何か”を知っている)。ならば最終章の「マイキーを救う」という展開は、物語の比較的初期の段階(第2巻)で、実は明かされていたといえなくもないのだ。

 いずれにせよ、この複雑な構成の物語がどういう結末を迎えるのか、いまから楽しみである。

関連記事