『僕のヒーローアカデミア』ナイトアイ&イレイザーヘッドに思う、チートすぎる個性の代償

※本稿は『僕のヒーローアカデミア』のネタバレを含みます。

 最終章に入り、ますます今後の展開が楽しみな『僕のヒーローアカデミア』。筆者同様、「自分も個性がほしい!」「自分だったらこの個性がほしいな~」と妄想している読者は多いのではないか。

 ただ、強すぎる個性を持つと、災難に遭遇する確率も高くなるように思える。今回は『僕のヒーローアカデミア』に登場する、サー・ナイトアイとイレイザーヘッドというチート級の個性を持った2人を考察したい。

ナイトアイは扱いが難しい存在?

 「ヒーローインターン編」に登場した、過去にオールマイトのサイドキックを務めたサー・ナイトアイ。その個性“予知”はいろいろな意味でチート過ぎた。具体的には“対象人物の一部に触れ、目線を合わせることで1時間の間、その人物のとりうる行動を先に見ることができる”からだ。

 ただ、ナイトアイは治崎の激戦の末に病院に運ばれ、間もなく死亡。グラントリノ同様、今後の活躍が期待されていただけに、その早すぎる死は衝撃的だった。とは言え、冷静に考えると、ナイトアイが早々に退場するのは”予見”できたことだったかもしれない。

 ヴィラン連合との抗争は間違いなく激化するが、ナイトアイの能力はヴィランにとって厄介極まりない。そのため狙い撃ちにされることもあるだろうし、メタ的に見てしまうと、物語の展開としても「とりあえずナイトアイに予知してもらえば……」と、常に読者をモヤモヤさせてしまうはずだ。「デクは治崎に負ける」との予知が、思わぬ形で外れており、その個性が絶対的ではないことこそ示されているが、作品の緊張感を保つためにも、何度もこうしたシーンは描けないだろう。

イレイザーヘッドは強すぎるゆえに最前線へ

 1年A組の担任を務めるイレイザーヘッドの個性“抹消”は、“イレイザーヘッドに凝視されている間は自身の個性を発揮できない”という強力すぎるもの。そのため、ヴィラン連合との戦闘において前線に赴くことは必然であり、常に死と隣り合わせの同情したくなる存在である。

 加えて、“内通者”が在籍していた1年A組の担任のため、なおさら危険な戦闘に巻き込まれやすい。さらにさらに、教師として生徒を守りながら戦う必要があり、作中におけるイレイザーヘッドの負担は計り知れない。

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