“定番外”の謎メニューを求めて 好奇心と食欲をそそる食レポ漫画『いつか中華屋でチャーハンを』
本書にはこうした一見よくあるようでいて少しだけ違う料理がちょこちょこ登場する。長崎の「パンメン」、福岡の「ダル麺」、全国各地の「中華うどん」などなど。微妙に想像できるようなできないような味を、増田が土地の人々に話を聞きながらおいしそうに食べるから、味が気になって仕方ない。
増田の食べ歩きの中には豪華なものはほとんど登場しないし、出会った料理に対する考察も学術的じゃない。あくまで増田本人が話を聞いたり、ググった範囲で描かれていて、ときどき「すべて個人の憶測です」と一言添えられている。
でも、街の中にある小さな謎にちょっぴり深入りしつつ、無理せず日々のごはんとして楽しむ様子が楽しくて、なんだか自分も近所の中華料理屋の扉を開きたくなるし、一杯やったり、食べ比べたりしたくなる。
お店の人との会話の様子も含めて、外で食べることの楽しさや豊かさをじっくり味合わせてくれる一冊だ。