【漫画】学校に行ったら”何か”がいる……クオリティの高すぎる創作漫画がTwitterで話題

読み切りの雑誌掲載経験がある実力派

――揚茄子央さんは普段、どのような活動をしているのでしょうか?

揚茄子央(以下、揚):普段は一般の企業でデスクワークをしており、その余暇で連載を目指して漫画やイラストを描いています。過去にKADOKAWAさんから発行されている「月刊コミックアライブ」に読み切りを掲載していただきました。また、ゲームや漫画の公式アンソロジーにお誘いいただくこともあります。

――揚茄子央さんが漫画制作を始めたキッカケはなんですか?

揚:幼い頃から絵を描く事自体は好きで、ノートに漫画を描いていました。ちゃんとした「漫画の原稿」を描くようになったのは、8年くらい前に始めた同人活動がキッカケでした。

――影響を受けた作品はありますか?

揚:強く影響を受けた作品は漫画は『鋼の錬金術師』『ワールドトリガー』など。幼少期から繰り返し読んでいた『ドラえもん』や、ゲームの『FF9』『風のクロノア』あたりからの影響も強い気がします。

――本作を制作した背景をお聞かせください。

揚:前述の「アライブ」さんに掲載された読み切りは2019年制作のため今と絵が違い、当時は女性向け作品の色が強かったです。女性向け作品や少女漫画も好きですが、「せっかく少年漫画が好きなのに“女性向け作品の作家”という枠に納まるのはもったいない」「『バトル·アクションが描けるぞ』ということをアピールしたい」と思い、知人に相談に乗ってもらいながら制作しました。

――制作するうえでの苦労はありましたか?

揚:実は本作執筆直前までスランプで、半年間くらいネームを切っても完成できない時期が続いていました。思いつきで話の内容を変えたり、要素を詰め込みすぎる癖があるため、わかりにくい上にまとまらない作品しか作れなかったのです。本作制作中も何度か話が脇道に逸れそうになったため、頑張って削って軌道修正した記憶があります。

――「女性向けの作品が多かった」とのことですが、作画においての難しさはありましたか?

揚:本作は“クトゥルフ神話”をモチーフにしたクリーチャーが登場しますが、モンスターを描くのは初挑戦で、最初はどう頑張っても「怖い」ではなく「可愛い」印象になりました。ストーリー面だけでなくデザイン面でも知人からアドバイスをたくさんもらいながら、要所要所の絵が印象に残るように試行錯誤しました。

「人を揺さぶるような作品を作りたい」

――9ページ目では「壊される」が逆になり、23ページでは「この人たち元々」というセリフが「あ」というセリフで隠すなど、フキダシの使い方が秀逸でした。

揚:どちらも特に珍しくはない手法だとは思うのですが、狂気や主人公の葵の恐怖感が表現できたらいいなと思って使用しました。フキダシの上にフキダシを重ねる演出は元々好きなので、ホラーじゃない作品でもたびたび好んで使っています。

――バトルだけでなく、コメディ的な要素も見られ、短編ではありますが充実した内容に感じました。要素のバランスはどのように意識しましたか?

揚:“バディもの”として、キャラ同士のテンポのいい掛け合いは好きなので隙あらば入れています。ですが、メインを食いすぎてもいけないので、ページ配分はバトルシーンが一番多くなるようにあらかじめ決めた上で制作しました。

――物語の先が気になってしまう終わり方にも思えますが、続編の制作は検討されていますか?

揚:少なくともこの作品から直接つながる続編は考えていません。単純に余韻があったり、続きを予感させる終わり方が好きなだけなんです。でも、私の予想以上に続きを求める声を頂けて嬉しいです。作品の要素やモチーフ、キャラ自体はとても気に入っているので、今後の作品でリブートする可能性はあるかもしれません。

――最後に今後どのように漫画制作を進めたいですか?

揚:ずっと「人を揺さぶるような作品を作りたい」と思っているので、そういう作品に近づけるように長く楽しく沢山漫画を描きたいです。その上で多くの人に作品が届くようになれたらとても嬉しいです。幸い「キャラの関係性が気に入ればだいたい何でも楽しく描ける」「漫画に限らず創作すること全般が楽しい」性格なので、ジャンルに囚われずに幅広く色々な事に挑戦していきたいと思っています。

告知事項

2022年初春より、TOブックスのレーベル「コロナ・コミックス」にて 、揚茄子央さんが「頑張れ農強聖女~聖女の地位と婚約者を奪われた令嬢の農業革命日誌~」(原作:佐々木鏡石/キャラクター原案:匈歌ハトリ)のコミカライズを担当することが決定。原作ファンもタイトルが気になる人も、ぜひチェックしたい。

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