松木いっか新連載『日本三國』武器は「弁が立つ」こと? 新たな「国盗り物語」の幕開け

 11月24日から漫画アプリ「マンガワン」で松木いっか先生の新連載『日本三國』がスタートした。前作『ブクロキックス』ではブラインドサッカーをテーマに、知られざる競技の裏側や、ブラインドサッカーに情熱をかける主人公たちの青春を鮮烈に描き大きな話題を集めた。そんな松木いっか先生が今回の新連載で挑むのは、日本崩壊から始まる新たな「国盗り物語」だ。

現代社会衰退の先にあるのは

 物語の舞台は現代社会が崩壊した近未来の日本。少子高齢化、政治の腐敗、民衆の暴動により日本が滅亡し、文明が明治初期レベルにまで後退したという世界だ。文明が崩壊するまでの設定が実際に起こり得る題材を交えて描かれているため、現実でも起こりそうな何とも言えない脅威を感じ、とにかく冒頭から惹き込まれる。

 さらに、日本は大和・武凰・聖夷の3つの国に分かれ、それぞれの国が覇権を争う三国時代に突入していくのだが、これはかつて日本各地の戦国武将たちが勢力を拡大し、領地支配などの戦が絶え間なく行われた戦国時代を彷彿とさせる。近未来の日本が舞台と言いながら、描かれるのはハイテク技術を極めた煌びやか未来ではなく現代社会が衰退した世界。さらにその先に待ち受けているのは、まるで「歴史は繰り返す」とでも言うように戦国時代を思わせる世界なのだ。この皮肉めいた世界観を、説得力のある緻密な設定と圧巻の筆致によって巧みにまとめている。

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