『あたしンち』は令和になってどう変化した? 『あたしンちSUPER』に見る、新しい家族のかたち

変わらない「小さなできごと」

 スマートフォンがタチバナ家の生活に根付き、コロナ禍により新たな生活様式が強いられたため、タチバナ家の日常にも変化が見られた『あたしンちSUPER』。

 ただ、マダム・デジュネの会の4人でお花見をする母や、カレーをすくうお玉をなめる母を見て笑う父。ゆっくり歩くと気持ちがいいと話す「ナスオ」の発見を藤野と共に検証するユズヒコや、テディベア研究会の後輩である「新田」とくだらない対決をするみかん。

 本作の作者であるけらえいこ氏が描く、少し不器用で、でもいっしょうけんめいな登場人物の、くだらないけれど、なんだか神聖に思える小さなできごとの数々。それは『あたしンち』だった時代からまったく変わっていないと感じたのは私だけではないはずだ。

 アニメのオープニングテーマである「さらば」をテレビで聴く機会が少なくなり、最後のコマでメッセージが描かれた21巻の発売から数年が経った2021年。お母さんやタチバナ家、『あたしンち』にまた逢えたことをうれしく思う。

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