2人のバス運転手が紡ぐ、バディ物語の新境地 『おかえり、南星バス』はどんな風景を見せてくれるか
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連載デビュー作という“初航海“を見守る楽しみも
そんな本作ではバス運行のことを「航海」と呼ぶシーンがある。これは著者のまどさわ窓子が取材した際、実際にバス運転手から教えてもらった言葉だとTwitter(@madosawa)にて明かしている。人を運び、旅の無事を目指して出発するという意味では、舟もバスも同じ心持ちということなのだろう。
切符を握りしめて、いざ航海へ。そのドキドキとした気持ちは、もしかしたら本作全体にも漂う気分にも共鳴しているかもしれない。本作は、まどさわ窓子先生にとって、初の連載作品となる。読み切り作品『クリスマスの夜に』で、白泉社のマンガ投稿サイト『マンガラボ!』の「マンガPark連載争奪コンテスト」でグランプリを獲得。見事、本作の連載をスタートさせたのだ。
奇しくもなかなか旅ができないご時世に生まれた、バス運転手によるバディマンガ。陣と鳴瀬による旅物語は、読者にとって旅のワクワク感を追体験できる一面もあり、また作者のまどさわ窓子先生が踏み出した旅路を見守るという楽しみも含んでいる。この航海が、これからどんな景色を見せてくれるのか。そして、行き着く先で待っている世界がどのようなものなのか。じっくりと味わいながら読み進めていきたい。