櫻井孝宏が語る、ラジオとエッセイの相互関係 「両方がうまく働いているのは大きい」
エッセイとラジオの相互関係がうまく働いている
――「リアルサウンド」は、カルチャー系の媒体ということで。櫻井さんが趣味としているカルチャーについても伺いたいです。エッセイでも度々話題にされていましたが、レコードが趣味なのですよね。
櫻井:そうですね。昔から好きなんですけど最近ますますレコード熱が上がっています。私が子供だったときはまだギリギリレコードの時代をでしたし、両親が好んで聴いていたんですよ。なので、触れたことも聴いたこともあるというベースがあったうえで上京して、東京という魔界都市で魔改造されました(笑)。踏み外すくらいハマってしまって、今ではもう一生モノだなと思っています。暇があればレコード屋に行って、店員に「またあいつ来ているな」と思われながら見ていますから(笑)。
――最近のお気に入りは何ですか?
櫻井:音楽の流行の形って、日本は独特じゃないですか。もともとシティポップというジャンルは無かったけれど、ヤマタツさん(山下達郎)とか大滝詠一さんとかが海外で注目され、それが日本に帰ってきて。80年代のサウンドが「むしろ今っぽい」という定着の仕方をした。
この延長で、「むしろ80年代でこの音って早すぎるよね」という曲がいっぱい発掘されているんです。それがサブスクになったりCDになったり、またレコードになったりしてリリースされているという動きがあるので、今はその時代の流れに乗って歌謡曲にハマっています。作詞家による奥行きのある歌詞と、同様にプロの作曲家による洗練されたサウンド。これを感じるのが楽しいです。
――そんなふうに歌謡曲を楽しむようになったのが、最近。
櫻井:そうですね。40歳を超えてからです。それまでは、気になっていたけど見ないようにしていたんですよ。ヒット曲のレコードは世の中にたくさん出回っているので、50円とか100円くらいなんです。これに手を出してしまうと、いよいよレコードで溢れかえって大変なことになってしまうと思って。
でもレコード盤にはCDやデータとは違う音の圧があって、レコードで聴きたいというスイッチが入っちゃうともう止められないですね。ハマるのは時間の問題でした。
――最近はどんな方の曲を聴いていますか?
櫻井:流行りのシティポップで括られる人たちなんですけど、例えば亜蘭知子とかしばたはつみ、杏里、中原めいこ。新しいところだとRainychや羊文学とかも好きです。
――この先もコレクションが増えそうですね。ちなみに、カルチャー繋がりで最近面白いとマンガは何かありますか? エッセイでも、マンガと台本はよく読む部類に入れられていたかと思うので。
櫻井:そうだなあ……今気になっているマンガなんですけど『古代戦士ハニワット』です。『鈴木先生』の作者さん(武富健治)が書いている作品で、『進撃の巨人』っぽさがちょっとあるんですよ。ネットで見て気になって買おうとしたんですけど、売り切れてしまっていて。なので、まだ手に入れられていないんですよ。読みたいという段階のマンガですね。
――その段階でも挙げたくなるほど面白そうだと。
櫻井:局地的に縄文時代ブームがきていると聞きまして、そこに興味を持っていたのでまさにうってつけのタイトルだなと。「これは面白いやつだ」と直感で目をつけています。
――そんなふうに、新しい作品やトレンドをキャッチできるようにアンテナを張っている印象です。普段から意識はしていますか?
櫻井:やっぱり年を食ってくると新しいものに反応できないし、そもそも何が新しいものなのかわからなくなってくるんですよ。そうすると「昔のほうが良かったな」「昔はこうだったんだよ」と、飲み屋で延々と昔話をするおじさんになってしまうと思うんですが、一時期、自分もそんなふうになっているなと思ったんです。
ただ私にはラジオと言うツールがあって、そこには“今”をちゃんと知っているディレクターさんや作家さんが居るんですよね。そういう人たちが近くにいてくれたので、最低限のアンテナは張っておくべきだと意識するようになっていました。周りの人たちよりもスタートは遅れたけれど、背中は見えている状態ですね(笑)。でも全方位は難しいです。メールなんてバリバリ“おじさん構文”ですから。
――あと、櫻井さんのエッセイからもラジオからも感じるのですが、毎回何かしらの気づきを与えてくれますよね。
櫻井:えっ! そんな。言い過ぎたなとか思ってません?
――そんなことはないですよ。きっと単なるエピソードトークで終わらず、ご自身の考えや問題提起もしてくれるから考えるきっかけをもらえるのだろうなと思っています。そのあたりは、ご自身ではどう思っているのかなと。
櫻井:まあでも、そこまで伝えないとなとは思いますね。ただ間違いは恐いので、できるだけ「正解だ」という提示は避けようと思っています。エッセイにも似たようなことを書きましたけど、正解は出しにくいけど答えはいくつもあるので、「自分としてはこう思います」という、“答え”を提示する話し方や書き方はできると思うんです。
――それが櫻井さんなりのアウトプットなのですね。
櫻井:毎日スーツを着て働いているわけではないからこそ、縛られるものは少ないし自由度が高いと思っています。今、私が意見を言える場所は、ラジオとエッセイの2つ。文章での表現はラジオに生きるし、ラジオで話すときの回路はエッセイでも発動できます。その相互関係がうまく働いているのは大きいと思います。
■書籍情報
『47歳、まだまだボウヤ』
著者:櫻井孝宏
出版社:KADOKAWA
価格:1,760円(税込み)
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