金ロー2週連続登場『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 原作小説はここが違う!

 続く「少女と自動手記人形」は、テレビシリーズで“神回”と呼ばれ感涙を誘い、10月29日放送のテレビシリーズ「特別編集版」にも組み込まれた第10話の原作。ヴァイオレットが病弱な婦人に付きっ切りでしたためた手紙が、時を超えて放つ深い情愛に、アニメ同様ギュッと心をつかまれる。そして、続く「青年と自動手記人形」で、ヴァイオレットの過去と関わる、あるとてつもない振る舞いを見てギョッとするのだ。

 添えられているイラストで、ヴァイオレットは巨大な戦斧を背負っている。戦場のただ中にいる兵士の青年のところに降り立って、敵兵を蹴散らし青年が酔った勢いで行った無茶な依頼を聞き届ける。ヴァイオレットとは何者だ? そんな疑問に対し、彼女が苛烈な生い立ちを経て、ギルベルト・ブーゲンビリアという軍の将校と出会いながらも離別した過去が明かされ、2人をめぐる恋愛ストーリーが立ち上がっていく。

 アニメの方ではむしろ、ギルベルトを強く慕い、戦場で離ればなれになってからも追い求めて止まないヴァイオレットのストーリーが主軸になり、2020年公開の『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』へと続いていく。無感情の戦闘機械だったヴァイオレットが、ギルベルトの残した「愛してる」という言葉の意味を探り、感情を芽生えさせていった先に訪れたフィナーレは、まさに感涙ものだった。

 そんなギルベルトとの関係は小説でもひとつの要素になってはいるが、より迫ってくるのは手紙を書くということ、そして自分の言葉で伝えるということがもたらしてくれる、時間や場所を超えた繋がりの大切さだ。

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』に収録の「王女と自動手記人形」は、テレビシリーズでも第5話に登場するエピソードで、近隣国の王子との決められた婚姻に際して、形式的な恋文を公開でやりとりする必要があった王女のところで、ヴァイオレットが代筆を行うことになる。ここでヴァイオレットが、代筆という役割を超えて示した方策が、本当の気持ちを外に出す必要性を感じさせてくれる。

 同じ『外伝』に収録の「永遠と自動手記人形」は、11月5日に「金ロー」に登場する『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝―永遠と自動手記人形―』の原作。困窮していた少女が大富豪の血筋と分かって家に入り、令嬢としての作法を学ぶためにヴァイオレットと生活を共にする中で、心残りだったことに向かって溜めていた思いを吐き出すようになる。このエピソードも、手紙が結ぶ時間も身分も超えた心の交流が涙を誘う。

 ただ感動系の作品ばかりなのかというと、小説版の『外伝』にはC.H郵便社の社長と秘書をさらった敵対する郵便会社に乗り込んで、ヴァイオレットがロケットランチャーを放ち、戦斧を振り回しす「郵便屋と自動手記人形」なども収録されている。アニメでは絶対に見られないヴァイオレットの姿に触れられる小説版を、「金ロー」登場で書店に並ぶ機会も多い今、手に取ってみてはいかが。

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