新作映画への期待値も高い『ガリレオ』シリーズが首位 文芸書週間ベストセラー

 が、出会いが素敵なものばかりとは限らない。たった一度の出会いが、人生を叩き落すこともある。そんな絶望を容赦なく描きだすのが8位の織守きょうや『花束は毒』。法曹界のサラブレットでみずからも法学部で学ぶ大学生の木瀬は、かつて世話になった家庭教師・真壁が何者かから脅迫されていることを知る。婚約者に事情を知られることをおそれた彼にかわり、探偵事務所を訪れた木瀬が出会ったのは中学時代の先輩・北見だった。

 当時から探偵を名乗り、問題解決のためには手段を選ばなかった彼女との出会いは、正義感に燃えるまっすぐな少年だった木瀬の心に揺らぎを与えた。そして今、彼女とともに調査を進めることで、ふたたび、知りたくなかった・見たくなかったものに直面せざるを得なくなっていく。

 誰かにとって愛すべき人も、別の誰かにとっては憎しみを向ける対象になりうる。その出会いが吉と出るか凶と出るかは、出会ってみなければわからない。本も、同じである。自分だけの一期一会を、存分に堪能してほしい。

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