菅田将暉は『ミステリと言う勿れ』主人公・久能整をどう演じる? ミステリアスな魅力を考察

※本稿は『ミステリと言う勿れ』のネタバレを含みます。

 2022年1月のドラマ放映を控え注目度が高まる『ミステリと言う勿れ』。ファンの間で話題となっているのは、本作の主人公「久能整(くのう・ととのう)」を菅田将暉が演じるという点だ。

 菅田氏が演じる整は、作中では天然パーマによるアフロのような髪型に加え、ときおり幼さを感じる行動が見られたりするなど、どこか変わり者として描かれているように感じる。本稿では、それでも多くの読者から支持される整の魅力について考察していきたい。

 大学生の整は一人暮らしをしており、カレーをつくる際にはじゃがいもを小さく切ってルーに溶け込みやすくしたり、牛肉にカレー粉をまぶして焼いたりと、カレーに並大抵でないこだわりをもつ様子が見受けられる。一方で恋愛関係はというと、異性に興味を示す様子はあまり見られず、生涯で交際相手がいたことがないと話す。

 そんな整は本作で数多く登場する議論の場や会話シーンのなかで、自身の情報や心情を開示することが少ない。その代わりに事象の提示や客観的な観測結果を多く発言する。

 「episode1 容疑者は一人だけ」で整は殺人の容疑をかけられ、様々な警察官から取り調べを受けることとなる。娘からウザイと言われ悩む「乙部」巡査に対して、整は父と娘で子どもをつくらないように遺伝子レベルで警戒警報を出しているため、過剰な反発をするのだという趣旨の分析を伝える。

 看病していたペットの猫が目を離した瞬間に亡くなってしまい落ち込む「風呂光」巡査に対しては、猫は飼い主に死ぬところを見せたくなかったのだと話す。家族のためにゴミ捨てを手伝っていることを自慢げに思う「池本」巡査には、ゴミ捨てはゴミ袋を捨てるだけではなく、家中のゴミを集め分別できていないものを分けたり、生ゴミの水気をきる工程があることを語る。

 主観に偏らず事実を提示することで、異性だけでなくすべての他者に対して一定の距離感で話す整。中立の立場として物事を判断する、何色にも染まらない姿が整の魅力のひとつなのだろう。

 大学生とは思えないほど知識を披露するが、自身の素性をほとんど明かさない整。しかし作中では整の正体を知るためのピースとなるようなシーンがいくつか登場している。

 ひとつは、博整の口にする雑学的エピソードは外国の事例であることが多い点だ。例えば「episode2 【前編】会話する犯人」において、奥さんとの関係に悩む池本巡査に対し、整はメジャーリーガーが家族とのイベントのため試合を休むという豆知識を話している。また「episode4-5 殺すのが早すぎた」で高校生の「汐路」にカウンセリングをを受けることを勧める際にも、整はアメリカの基準を根拠として挙げた。

 外国に関する雑学が整の口から多く登場することに付随して、『ミッション・インポッシブル』や『サスペリアPART2』、『バックドラフト』など洋画のタイトルと作品から得た知識が多く登場する。

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