『ONE PIECE』レッドラインには何がある? ワンピース研究家が“地理の謎”を考察

「ウエストブルーにあった考古学の聖地・オハラにあった天体の模型では、中心の星の周囲に6つの惑星が描かれていました。また、ゴロゴロの実の能力者だったエネルはルフィに敗北した後、月に行き、そこで古代文明の遺跡を見つけています。そのため、この世界の支配者である五老星や天竜人は月や他の惑星と深い関わりがあるのではないかなど、いろいろな説が囁かれています。私自身はそうした説に懐疑的な立場だったのですが、最近は“太陽の神ニカ”の話が出てきたりと、他の星を意識させる新ワードが増えていて、あながち否定できない説だと考えるようになってきました。『ONE PIECE』における月の満ち欠けの描写はけっこう正確で、ルフィたちが島にどれくらい滞在して、次の島まで何日かけて行ったのかが反映されています。それを踏まえると、尾田栄一郎先生がこの世界と宇宙との関連に、何かしらの秘密を隠していても不思議ではないでしょう」

 考察すべきポイントが尽きない『ONE PIECE』の地理だが、神木氏はそれとはまた違った楽しみ方もあると提案する。

「『ONE PIECE』で描かれる建物や風景には、実在のものをモデルにしているかもしれないというケースが多々あります。ルフィの故郷であるフーシャ村はイギリスのノーフォークにある風車やオランダのフォーレンダムの風景とよく似ていますし、リュウグウ王国の竜宮城は北京の世界遺産である天壇にそっくりです。今年3月に刊行された『るるぶONE PIECE』(JTBパブリッシング)では、『ONE PIECE』で描かれた建物や風景の元ネタと思われる写真を多数掲載しています。『ONE PIECE』とあわせて読むことで旅行気分を味わうのも、ステイホームが推奨される今だからこその楽しみ方ではないでしょうか」

 地理や景色を意識しながら、今一度ルフィたちの冒険の足跡を辿ると、『ONE PIECE』の新たな魅力を発見することができそうだ。

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