『ONE PIECE』“ひとつなぎの大秘宝”の正体は? ワンピース研究家が明かす最新考察

 記念すべき単行本100巻の発売を9月3日に控えて、さらなる盛り上がりを見せている『ONE PIECE』。90巻まで無料公開するという前代未聞のキャンペーンで、ようやく最新の「ワノ国編」まで追いついたという読者も少なくないだろう。長きに渡る冒険の中、ルフィたちには多くの仲間ができる一方で、この世界には権力者たちの複雑なパワーバランスがあり、解決が困難な根深い問題が横たわっていることが見えてきた。歴史にも謎が多く、特に“空白の100年”と呼ばれる時期にいったい何があったのかは、多くの読者たちに考察を促してきた。

 そんな『ONE PIECE』の最大の謎といえば、やはり“ONE PIECE=ひとつなぎの大秘宝”の正体だろう。ルフィたちの最終目標であり、それを手にしたものが“海賊王”になるとされているが、未だにその実態は謎のままである。来たる100巻の発売に向けて、現在はどんな説が囁かれているのか、その最新考察をワンピース研究家の神木健児氏に聞いてみよう。

「大前提として、まだ誰にも“ひとつなぎの大秘宝”の正体がわかっていないこと自体が、ファンたちにとって大きな楽しみとなっています。様々な想像を膨らませられることも『ONE PIECE』の魅力と言えるので、謎は謎として最大限に楽しみたいところです。

 その上で現在わかっていることを挙げると、“ひとつなぎの大秘宝”はこれまでの冒険の中で培われたルフィたちの絆であり、それこそが“人つなぎの大秘宝”であるといった“形なきもの説”は否定されています。尾田栄一郎先生ご自身が、2019年に放送された『ホンマでっか!?TVSP』で明かしているので、これは間違いありません。なんでも尾田先生は、子どもの頃に『オズの魔法使い』を見て『宝は冒険の中で培われた勇気』のようなオチに不満を抱いたそうで、宝はちゃんと形あるものにすべきだという考えがあるとのことでした」

 となると、どのような宝が予想できるのだろうか?

「グランドラインの最終地点であるラフテルで、海賊王になったゴール・D・ロジャーが”本当にあった莫大な宝”を目の前にして手に入れられなかったという描写があります。物語が進むにつれて、以前よりよく考察されるのは、”ひとつなぎの大秘宝は何か”ということもありますが、”それに辿り着くには何かが必要ではないか”ということが盛んに言われるようになってきている感覚があります。また、その宝を手に入れるためにはおそらく20数年の時の経過が必要であり、鍵となるのがルフィ、もしくはルフィと深い関わりのある人物なのではないかという声も多いですね。受け継がれてきた麦わら帽子の存在や、ロジャー海賊団の元クルーたちがルフィに感じている期待値、しらほし=ポセイドンなど、作中に散りばめられた要素からそのような説に繋がってくるんだと思います。

 個人的には、いくつもの考察を見たり考えたりもしてきましたが、今はシンプルにすごい財宝が眠っているのではないか……というかそれでいいのではないかとも思っています。ワンピースが何であるかと難しく考えがちですが、根本は少年漫画ですし、海賊である麦わらの一味が莫大な金銀財宝を目の前にして歓喜する姿を見たいという願望もあります。しかし、それを見つけられることが世界政府にとっては困る事でもあるはずなので、それだけでは成立しませんよね。もしワンピース=財宝であり、かつ世界政府が隠したがっているものであるなら、その財宝がメッセージを持ち世界をひっくり返すような発見に繋がるのかもしれません。例えば、空島編では金で作られたサウスバードのインゴットなどが発見されていましたが、空白の100年にあった出来事を象徴する金塊の像などが壮大に並んでいてもいいのかなと思います」

 一方で、“ひとつなぎの大秘宝”はもっとスケールの大きなものだとする説もあると、神木氏は続ける。

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