致命的な欠陥のある名探偵? 謎解きエンタメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』が面白い

ノリの良さと勢いで世界観を楽しむ

 謎解きとしては、いまはサクッと終わっている事件が多い印象。ちょっと強引な設定のようにも見えるが、だからこそ警察が手こずってしまうというのは大いにありえる。「そんな方法で?」という予想外の切り口だからだ。何より、ロンの謎解きが閃きと鋭い洞察力、斬新な着眼点が魅力と言ってもいい。ロンだから解ける、という事件であるほうが魅力は増すのかもしれない。

 ロンと都々丸の組み合わせはボケとツッコミといった形だが、都々丸が疑問点にツッコミを入れてくれるおかげで話が早い。物語が加速しているのは都々丸のパワーが大きいだろう。

 ロン自身がまだ謎多き存在だ。そして、彼が在籍していたという探偵養成学校BLUEにも何かがありそうだ。そもそも、事件解決率100%の探偵がいることで、逆に世界のバランスを壊している……なんてことはないのだろうか。ポップでテンポの良い物語が、今後どのような展開を見せていくか、楽しみだ。

■書誌情報
『鴨乃橋ロンの禁断推理』(ジャンプコミックス)
著者:天野明
出版社:集英社

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