『ONE PIECE』麦わらの一味に新メンバー加入の可能性は? ワンピース研究家が考察

 もうすぐコミックスが100巻に達しようとしている『ONE PIECE』。ルフィ率いる麦わらの一味の大冒険もいよいよ終盤を感じさせる展開で注目を集めているが、そんな中、読者の間で予想合戦が加熱しているトピックがある。「新しく仲間になるキャラクターはいるのか、いるとしたらそれは誰なのか」というものだ。

※以降、ネタバレあり

 これまでルフィは、ロロノア・ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、トニートニー・チョッパー、ニコ・ロビン、フランキー、ブルック、そしてジンベエと、9名をクルーにしてきた。全員が現在の麦わらの一味にとって不可欠なメンバーで、それぞれに異なる能力や役職があり、この9名がいれば航海に不自由することはないだろう。だが、ルフィは序盤で「仲間は10人は欲しい」と語っていたため、最後にもう一人仲間が加わるのではないかという予想が、読者の間でまことしやかに囁かれているのだ。

 一方、作者の尾田栄一郎氏による初期設定画では、ジンベエまでが仲間として描かれているため、ルフィを含めた10名で全員だという見方もある。ワンピース研究家として知られ、多数のメディアで活躍する神木健児氏に、これまでの仲間選びの基準を考察してもらうとともに、新たな仲間の可能性を聞いた。

「ルフィの視点でいうと、麦わらの一味となるメンツは戦闘力や職能ありきで選ばれているというわけではありません。チョッパーに関しては仲間にした後に医者だと知っていますし、音楽家のブルックも単に面白いからという理由で出会い頭に仲間に誘っています。もしかすると、新世界以降に仲間になったジンベエの“操舵手”という職能については、いまも知らない可能性さえあるでしょう。実際、ルフィは宝箱にハマって抜けなくなってしまった元海賊のガイモンや、パンクハザード編に登場したモブキャラのケンタウロスなどを仲間に誘ったこともあります。ルフィが思いつきで仲間に誘うのを、ほかのクルーが制止するのは定番の流れになっているほどです」

 しかし、ルフィは面白ければ誰でも仲間にするのかというと、実際にはそういうわけではなさそうだ。

「ルフィの仲間たちはみんな、過去に辛い経験を持っているので、そこが共通点にも思えますが、深堀りすれば敵キャラにも歴史があるのが『ONE PIECE』なので、それだけではないと思います。おそらくルフィは、自分にとって必要な人、共になにかを成し遂げた人、一緒に冒険をしたい人、命をかけても守ろうと思う人を基準に仲間を選んでいるのではないでしょうか」

 戦闘力が高かったり、能力が秀でているから仲間にするわけではないのは、序盤でウソップが仲間になったときから明らかではあるが、そこに尾田栄一郎の作家性や信念も現れているのかもしれない。もちろん、仲間たちは物語を進める上で必要なキーマンでもあるが、物語の都合だけでキャラクターを動かさないのも『ONE PIECE』という作品に奥行きを与えているといえるだろう。

「尾田先生ご自身が『ラストが決まっている以上、早く最後の画に行き着きたいという気持ちがどこかにあるが、キャラクターの気持ちは一人一人丁寧に考えて描きたいし、それを捨て駒のように扱いたくもないから、いざ描くとなるとどうしても長くなってしまう』と仰っていましたので、キャラクターの意思を大事にしているのは間違いありません。初期設定の時点でジンベエまで仲間にすることを決めていたものの、新世界以降でようやく仲間になったのは、そこにいたる過程に説得力が必要だったからではないかと私は考えています。実際、ジンベエは頂上戦争編ではルフィを手助けし、魚人島編、ホールケーキアイランド編などでも共に戦ったりしていたので、その後に仲間になったのは読者にとっても自然な流れでした。いかに多くの読者に納得してもらえるか、これも重要な要素ではないでしょうか。逆にいうと、そういう意味ではこれから麦わらの一味のクルーに新たになるのはかなりハードルが高いと思います。熱心な読者は連載開始から24年間、『ONE PIECE』とともに歩んできたわけですから、最近出てきたキャラクターが突然仲間になることに対して、抵抗がある人もいるでしょう」

 ではやはり、現在連載中のワノ国編で新たな仲間が増える可能性は低いのだろうか。

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