暴走ビジュアル漫画『ヤマトナデシコ七変化』が教えてくれた“ハッピーな生き方”とは?

変身願望も、ありのままの自分も欲しい物に手を伸ばす

 ふた昔前ほどにCMで「絶対きれいになってやる」というコピーが流行したが、見た目だけかわっても仕方がない。ヤナトマナデシコの作中で恭平がスナコに向かって“中身がブス”だと指摘するシーンがある。確かにスナコはあまり褒められた性格ではない。なにせ諸々が嫌すぎてとりあえず恭平を殺そうと殺人計画を立てるほどだったのだから。

 しかし、恭平たちとの時間が長くなっていくことによって、スナコの中身もわずかに変化していき、互いに家族のような絆が生まれていく。見た目は変わらなくても、中身に変化があることで関係が変わる可能性だってあるのだ。

 関係に変化があったとはいえ、スナコが自分から「綺麗になろう」とか「メイクをしよう」と前向きになるかというとそういうわけではなく、変わらずホラーが好きだし、マイペースなスナコ。たしかに見た目が変われば気持ちも変わる。気持ちが変われば、見た目も少し変えようという気持ちになる。でも、見た目を変えたいという気にならなければ、それはそれでいい。好きなものを好きと言える、そんな環境にいるスナコはきっと何よりハッピーなのではないだろうか。

よく見るとピースをしているスナコ

■書誌情報
『ヤマトナデシコ七変化♥』全36巻完結
著者:はやかわともこ
出版社:講談社

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