『アップトゥボーイ』編集長が語る、グラビア誌の矜恃 「ファン層が変化しても、王道は追求していきたい」
アイドルファンも様々
――最近のアイドルを見ていると、グループの顔となるセンターが流動的ですよね。それはそれで楽しいのですが、モーニング娘。と言ったら安倍なつみ、後藤真希、AKB48と言ったら前田敦子だったように、絶対的センターの存在が恋しくもあります。
一坊寺:人気グループのセンターに立つ子は絶大なオーラがあります。逆にセンターの脇で輝く子がいたり、自分だけのセンターを見つける楽しみがグループアイドルならではの面白さですよね。ただ1つの表現ではないことが、たくさんの魅力が集まったグループが長く続く理由かもしれないですし、卒業、加入を繰り返してアップデートされていくのを見るのも、長期間応援できる醍醐味。また新たなファン獲得の要因になっているのかもしれません。
――そのためか、もともとアイドル好きではなかった人がアイドルにハマって、コンサートや握手会に参加しているケースも増えた気がします。『アップトゥボーイ』の読者層にも変化はありますか?
一坊寺:モーニング娘。全盛期(2000〜2003年頃)までは男性ファンがほとんどだったのに対し、AKB48、乃木坂46が隆盛し出した2010年以降は、ハロー!含めて女性読者の割合も大きくなりました。女性ファンだからといって、ファッションやメイクに特化したものを見たいというわけではなく、水着グラビアなどを楽しみにしている人もいます。ファン層が幅広くなったことにより、楽しみ方も様々になってきている印象を受けます。
――カップルでアイドルを応援しているファンも多いですよね。
一坊寺:好きなものを好きと言える時代になったからこそ、男性が女性アイドルを、女性が男性アイドルを好きになるというイメージも薄れてきていて、『アップトゥボーイ』=“男性”が読む雑誌という概念はなくなりつつあります。
ですが、『モーニング娘。20周年記念オフィシャルブック』において、プロデューサーのつんく♂さんにアイドルファンの変化についてお聞きした際、「感受性の鋭い熱狂的なオタク男子がいなくなったら終わり」「女の子は逆に、相当高いかぎ分け能力を持っていて更に敏感。あっという間に好きなものも変わっていくから、それに合わせて何かしてはダメ」とお話しされていたんですが、それは弊誌も同じだと思っています。どれだけファン層が変化しても、従来の読者が求めている王道は追求していきたい。時代を見つつ『アップトゥボーイ』らしい色を残しながら、400号へ向けてブレない誌面作りを続けていくことが我々の務めでもあり、そんな『アップトゥボーイ』をこれからも長く愛していただけると嬉しいです。
■一坊寺麻衣(いちぼうじ まい)
2004年、株式会社ワニブックス入社。2014年より『アップトゥボーイ 』、第二写真集編集部編集長を務める。
■雑誌情報
『アップトゥボーイ Vol.301』(2021年5月号)
定価:1,182 円+税
出版社:ワニブックス
発売日:2021年3月23日
体裁:A4判・96 ページ
付録:B3サイズ両面ポスター
公式サイト