「お弁当にはスパイス」が新常識? スパイス料理研究家・印度カリー子が伝授する”脱マンネリ術”

 一見難しそうなスパイス料理のハードルを、身近な「お弁当」でグッと下げてくれる傑作レシピ本が誕生した。その名も『一肉一菜スパイス弁当』(印度カリー子/世界文化社)。人気スパイス料理研究家・印度カリー子さん初のお弁当の本である。

『一肉一菜スパイス弁当』(印度カリー子/世界文化社)

「一肉一菜」なら無理なく作れて、毎日おいしく楽しめる

 その名の通り、本書のテーマはピリッとスパイスの効いたおかずを詰めたお弁当。殺菌効果のあるスパイスを用いた料理は、常夏のインドでもお弁当文化の核を成すほど。これから暖かくなる日本のお弁当にもうってつけなのだ。

 この春から初めてのお弁当づくりに挑戦する人や、スパイス使いに不慣れな人もご安心あれ。著者の印度カリー子さんは、スパイス・カレー初心者のためのネットショップを運営し、日頃から料理ビギナーのお手本となるようなプロ中のプロである。

 本書でも、誰もが毎日作りやすく続けやすいよう、3つのルールを掲げて、簡単でおいしいお弁当づくりに導いてくれる。

ルール1:一肉一菜が基本!・・・おかずは一つのメイン(肉や魚)と、一つの副菜(野菜や豆、卵)の二品のみ。あとは主食(パンやごはん)を詰めるだけのシンプル献立。栄養バランスも整えやすい。

ルール2:週末に作りおきする・・・まとめて作って冷蔵・冷凍しておけば、平日の朝は楽ちんコース。冷凍したおかずをそのままポンとお弁当箱に入れられるメニューもたくさん。

ルール3:朝は詰めるだけ!・・・あらかじめ作っておいたおかずを詰めるだけなら、力を抜いてお弁当生活を続けられるはず。

 そう、例え寝ぼけまなこでも、ものの5分でお弁当を作れてしまうのが、カリー子さんが本書で提案するオペレーションの絶妙さ。

 調理自体もフライパン一つで炒めたり和えたりするだけの、ごくごく簡単なものが多い。スパイス料理=手の込んだもの、という概念が覆される有用な一冊となっている。

 さて、どれから作ろう。スパイスおかずからスパイスサンドイッチ、スパイスマフィンなど、全70品のどれもがスパイスまみれで魅力的。『不思議の国のアリス』さながら、本のあちこちから「Eat me!」と聞こえてきそうな悩ましさを感じつつ、4品作ってみたので紹介しよう。

■タンドリーチキンとオクラのポリヤル

 スパイス弁当第一弾は、がっつりお肉! インド料理店でセットについてくるとうれしい、タンドリーチキンを主役にした。さっとマリネして魚焼きグリルでこんがり焼いたチキンはとてもジューシーで、ごはんに合う塩気がたまらない。

 インドでも人気野菜のオクラは炒め料理のポリヤルに。ネバネバ部分にスパイスとココナッツファインがよく絡んだ、優しい味の箸休めだ。一袋のオクラを2日で食べきってしまった。

 ライスは89pの「スパイスおかずに合うご飯」のターメリックライスとバスマティライスを参考に炊いた。お弁当箱の蓋を開けると、まばゆいばかりの黄色にニンマリ。

■キーママタールとシナモンにんじん

 レモンの爽やかな酸味がアクセントの本格的なキーマカレーは、ごはんが進むリッチな味わい。水気がなくなるまで10分間、じっくり炒めた玉ねぎが旨味を底上げする。

 副菜は、にんじんのシナモンソテー。インド風にんじんのグラッセともいえる甘さがコッテリキーマにマッチする。