『鋼の錬金術師』マスタング大佐とリザ・ホークアイの“強い絆” 運命を共にする二人の覚悟を考察
ロイを守るために、リザはそばに居続ける。
リザがロイにとって重要な存在であることは敵対するものから見ても明らかである。だからこそ、人質のような形で引き離されたこともある。それでも、どんなときも、リザはロイに付き従うし、そばで支える。もちろん、それはロイの身を守るという意味もあるだろう。しかし、それと同時にロイの”尊厳”を守るためでもあったのではないか。
親友を殺したホムンクルス「エンヴィー」と相対したとき、ロイは憎しみを晴らすためだけに錬金術を使った。そんなロイの背後から、リザは銃を構える。
ロイが道を踏み外さないように。そして、父が残した錬金術の秘伝が、ロイが堕ちる原因にならないように。ロイの焔の錬金術としての始まりはリザで、その責任を彼女は負っていたのかもしれない。
自分が進むべき道に迷ったリザに、ロイは自分の背中を託すことで、生きる道を指し示したのではないか。全ての戦いのあとも、リザはロイに付き従う。きっと、2人の運命はどちらかの命が尽きるまで共にある。「父の弟子」「師匠の娘」という関係性ではなく、愛や友情というものも超えた、強い絆が2人を結んでいる。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『鋼の錬金術師』(ガンガンコミックス)27巻完結
著者:荒川弘
出版社:スクウェア・エニックス
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