『鋼の錬金術師』ウィンリィの自立したヒロイン像 泣き虫だけど強い理由とは?

自立したヒロイン

 物語の中で、ウィンリィはヒロインという立ち位置だ。しかし、守られなければ生きていけないキャラクターというわけでもなく、エドたちと共に戦うというのとも少し違う。機械鎧をウィンリィが手掛けているということもあり、大きな意味では一緒に戦っているということになるかもしれないが、肩を並べて戦地に赴くというわけでもない。

 ウィンリィはウィンリィで機械鎧技師としてその道を究めようとしている。それはエドのためでもあるかもしれないが、自分の志のためだ。

 自分の両親を殺した仇と出会って、憎しみをぶつけようとすることもあったが、それも自分で断ち切った。

 しっかりと自らの足で人生を歩み、その延長線上にエドたちの人生と交わることになった。エドとウィンリィはやがて結ばれ家族となるが、守り、守られる関係ではない。

 エドのプロポーズは「俺の人生半分やるから、お前の人生半分くれ!」だった。錬金術師というのはプロポーズのときまで……とウィンリィは呆れながらも「半分どころか、全部あげる」と答えている。これは、今までの自分の人生をきちんと自分の意思で選び取ってきたからこそ――大きな力を前に選べない選択肢もあったが――言える言葉なのではないだろうか。

 自立した2人が一緒に人生を歩むことになれば、その結果得られるものはひとりでいるよりも、さらに大きなものとなることだろう。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『鋼の錬金術師』(ガンガンコミックス)27巻完結
著者:荒川弘
出版社:スクウェア・エニックス
ガンガンONLINE『鋼の錬金術師』サイト

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