『BLEACH』阿散井恋次のパワーの源とは? 一護との「強さ」の違いを考察

 連載終了から4年が経ってもなお高い人気を誇る久保帯人『BLEACH』。家族を護るために悪霊である虚を退治する死神となった高校生・黒崎一護と、死神、人間、滅却師といった仲間たちとの戦いを描く。

 今回、ピックアップするのはルキアの幼なじみで死神の阿散井恋次だ。

幼なじみに焦がれ、強者に焦がれ

 恋次が初めて登場したのは第6巻。一護に力を譲渡し、無力化したルキアを連れ戻すためだ。ルキアが連れ戻されるのを阻止しようとする一護に問答無用で斬魄刀を振るうが、油断からか一撃を食らう。一護の敵であるように見えただろうし、最初の印象としてはあまり良くなかった、という読者もいるかもしれない。

 しかし、ルキアが尸魂界に連れ戻されてから、その関係が徐々に明らかになっていく。幼なじみであり、流魂街では家族のように暮らしていたこと、周りの仲間たちが次々と死んでいく中、生き抜くためにルキアと共に真王霊術院に入ったこと。そして、ルキアが朽木家の養子になったこと――。

 朽木家は四大貴族のひとつと言われ、身分の高い家柄である。恋次はルキアに想いを寄せていたが、朽木家の養子となれば流魂街で一緒にいた時とはわけが違ってくる。圧倒的な身分の差が立ちはだかることになったのだ。

 貴族の人間となったルキアと対等になるため、そして、尊敬する白哉を超えるために鍛錬を積んできた。

 ルキアの処刑に関して、連れ戻しはしたものの、処刑になるとは考えていなかった。投獄されているルキアの元を訪れ、白哉が減刑を乞うはずだと言い、それを疑っている様子もない。恋次はルキアと白哉のこじれた義兄妹の関係を知らなかったからだ。だからこそ、ルキアが極刑だと決まった瞬間には大きく動揺する。ここから、恋次の心は迷い始める。幼なじみで大切な想い人と、自分が護廷十三隊六番隊副隊長という立場であるということに。

迷いの中で託した自分の思い

 瀞霊廷に侵入した一護たち。その戦いの中で恋次もまた、一護と相対することになる。初めて会ったときよりも圧倒的に強くなった一護によって、接戦になりながらも刀を折られ、負けてしまう。そんな一護との戦いの中で、自身の過去を振り返っていた恋次。

 朽木家に養子として迎えられることに、ルキアに家族ができるのだから祝ってやらなければ、と言い聞かせていた。しかし、本当は貴族に盾つくことなど自分にはできない、怖気づいてしまったのだと思い返す。

 朽木家の養子に入ることを止めたとしても、ルキアは喜んだだろう。しかし、養子に入ることを喜んでくれているのもまた、ルキアにとっては寂しくもあり、嬉しいのだ。恋次が自分のことを大切に想ってくれているのは知っているから。

 処刑が決まってから、ルキアは恋次に対して弱気な発言はしないし、ましてや助けてほしいなどとは言わない。自分を助ければ恋次も罪人となることは分かっているし、そんなことは望んでいないのだ。いまある現状を全て理解した上で、恋次は一護に乞う。

「恥を承知でてめえに頼む…! ルキアを助けてくれ…!」

 恥、というのもまた本音。同時に激しい悔しさもあっただろう。本当なら、自分が助けたい。でも、白哉と相対しても自分は勝てない。恥よりも悔しさよりも、――嫉妬よりも、ルキアを助けてほしい。そんな気持ちから発した言葉だったのだろう。