『ハイキュー!!』黒尾と研磨、幼なじみの絆をバレーボールが強くした

言葉の端々から感じられる密な距離感

 春高、準々決勝。高熱でリタイアした日向の元に研磨が訪れるシーンがある。

「ともだちを励ましに来た」

 そう言って試合の続きが観られるようにとタブレットを渡す。研磨の優しさや思いやりにグッと来るが、42巻のおまけでは余計のことをしたのではないかと逡巡する研磨の様子が描かれていた。そんな研磨に黒尾は穏やかに言う。

「しんどい時はともだちの顔見るだけで救われるものよ」

 研磨は黒尾に何も言わずに日向の元へ行ったのだろう。でも、黒尾は研磨がどこへ行き何をしてきたか想像がついていた。そして研磨も黒尾が察していることに驚きもしない。分かっていることは当たり前で、黒尾もまた自分の推測が外れているとも思わない。

 大人になってからも、2人の交流があることは会話からわかる。いて当たり前なんだろうし、離れていても一番の理解者だということはきっと変わらない。違う道を歩んでも、お互いに「(クロなら)(研磨なら)何があっても大丈夫」と思っているだろう。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊44巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html

関連記事