『ハイキュー!!』月島と山口が本当の親友になった瞬間 初めての衝突を越えて

 高校生たちの手に汗握るバレーボールの試合展開だけではなく、それぞれの友情やライバル関係にも胸が熱くなる『ハイキュー!!』。

 入部当初からケンカをして体育館を追い出された日向と影山。そんな2人と対戦することになった「他の新入部員」。それが月島と山口だった。高身長でブロッカーとしてのセンスもある。最初から目立っていた月島に対し、山口は1年生の中で唯一スタメンに入ることができず、どこか影が薄い存在――と感じたのは、序盤だけだった。

山口の存在が月島を覚醒させ、烏野というチームの躍進の一助となった。

自身の覚醒と衝突 山口の成長が月島の成長につながる

 どこか自信無さげな山口。それは、他の1年生のように自分の武器を持っていなかったからだった。それが自主的にサーブを練習し始め「サーブは誰にも負けないようになりたい」という決意をしてから、少しずつ自信をつけていくようになる。

 一方、月島は自分の限界を勝手に定めてしまっているようだった。「王様」と揶揄しつつも、圧倒的な才能を持つ影山というセッター。脅威の身体能力と、「好き」という気持ちだけで没頭し、めきめきと成長していく同じMBの日向。そんな2人を見て、月島は自ら線を引いてしまう。「ただの部活にそこまで真剣になる必要はない」。一生懸命になるから、あとから苦しくなるのだと。

 夏の合宿中も他のメンバーと距離を置く月島。強豪チームと自主練をする機会があるにも関わらず断ってしまう。そんな月島が山口はもどかしくて仕方がない。だから、日向にこう問うた。

「日向なら今のツッキーに何て言う?」

 日向は影山や谷地の心をするっと救うような言葉を自然に発していた。同じように月島にも声をかけてほしい。自分では言えないから。しかし、日向の返事は「何も言わないけど」だった。日向は影山や谷地の気持ちは推し量ることができた。2人は形は違えど素直だからだ。でも月島は本音が分からない、だから何も言えない。代わりに日向は問い返す。

「山口なら月島に何て言う?」

 月島に何か声をかけるとしたら、月島のバレー人生のほとんどを見てきている山口以外にいないのだ。

初めての衝突を越えて2人は親友となる

 小学生のころ、山口がいじめられているところを助けた月島。そのときから山口にとって月島は「かっこいい存在」だった。だからこそ、望んでいることがある。「ツッキーにはずっとかっこよくいてほしい」。山口が月島にかけた言葉はごくシンプルなものだった。

「最近のツッキーはカッコ悪いよ!!!」

 冷静で頭が良い月島は、理屈っぽいし、納得ができるまで考えないと気が済まない。だが、山口はたった一言で月島の悩みを叩き切った。その一言に背中を押されて、「ただの部活」を頑張るための理由を見つけに月島は動き出す。

 もしかすると、月島は山口がぶつかってくるのを待っていたのかもしれない。いつも自分の後ろをついて来るばかりだった山口。本当は、ずっと並んで歩いてくれることを待っていたのではないか。

 山口は月島の弱い部分を知っている。兄が烏野でエースだと嘘をついていたことが発覚したときもそばにいた。山口にしか月島は救えなかったのではないか。この一件から、山口の表情が少し落ち着いたものになったように思う。ピンチサーバーとして怖気づいたりすることもあったが、ちゃんと自分で立ち直った。自分で立ち直るたびに山口は強くなる。月島もそれを分かっていた。

「あいつは僕の先を行く男なんで」

 それを月島は恥ずかしいとも悔しいとも思わない。山口には直接言わないが、月島の心の中では山口はずっと相棒だったのだ。