澤村、北、黒尾、及川、牛若、木兎……『ハイキュー!!』モンスターたちを率いたタダモノではないリーダーたち
プレーで引っ張る 白鳥沢・牛若&梟谷・木兎
圧倒的なパワーでチームを引っ張るのが牛若だ。そのカリスマ性で後輩が自然とついてくる。チームメイトたちは牛若に一言かけられると不調も持ち直す。それに、他のチームからも一目置かれている。ジュニア合宿に参加した影山が佐久早から問われた言葉からもそれが分かる。「白鳥沢はなんで負けたの?」「若利君は不調だったわけ?」「どんな手使った?」「誰か若利君止めた??」と、他チームであってもその強さには全幅の信頼を置いている。
パワーで引っ張るというのは誰でもできるわけではない。とにかくバレーがうまく、強くならなければならない。牛若のあとを継いでキャプテンになった選手は誰なのかは分からないが、また全く違うチームになっているのではないだろうか。
全国で5本の指に入るスパイカーの木兎もプレーで引っ張るタイプ、と言いたいところだが、性格が末っ子気質なため、引っ張るというより、支えられている。副キャプテンの赤葦には、試合だけでなく、事務的な作業も支えてもらっていたのではないだろうか。しかし、木兎のプレーがチームの支柱になっていたことは間違いないし、試合ではそのパワーがチームを引っ張っていることが多いのは確かだ。
スタイルは違うがそれぞれ「パワーで引っ張る」という点では、共通しているのではないだろうか。
チームメイトからの圧倒的な「信頼」と「愛」
個性派のチームをまとめているタダものではないキャプテンたちを見てきた。チームメイトの言葉の端々から、キャプテンが愛されている存在であることや、信頼されていることは想像できる。このキャプテンについていこう、キャプテンがいれば大丈夫、と思わせることができるのも人徳であり、才能だ。
もともとそうだったのか、それともキャプテンというポジションにつくことで形成されたのかは、描かれず想像するしか無いが、作中でモンスター世代と言われているだけあって、キャプテンのうち3人がナショナルチームに所属した。選手にならなかった3人は警察官、日本バレーボール協会所属、農家になった。いずれも責任感が必要な職種である。大人になったそんな彼らの姿を見ても、しかるべき人がキャプテンを努めていたと言えるのではないだろうか。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊44巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html