『私の家政夫ナギサさん』ドラマと原作漫画の違い 母娘の物語はどう昇華された?

 さらに原作ならではのナギサさんの魅力が詰まったコミック版では、家族の温かさや「愛」がふんだんに描かれた。それは母性であり、仕事における愛であり、様々なかたちでメイに向けられている。ナギサさんがいるからこそメイは数々の困難に立ち向かい、乗り越えることができた。

 原作ではドラマ以上にスピード感を持ってナギサさんとメイの関係が深まっていくので、漫画を読む際にはその点においても注目してほしい。ドラマでは大森南朋演じる柔らかく優しい“ナギサさん”がお出迎えするが、コミックでのナギサさんはもう少し男性らしさが強調されており、厳しい表情をしている。

『私の家政夫ナギサさん』(C)TBS

 印象の違う2つの作品からは、同じ題材でも受け取り手の感じ方が大きく変わってくるだろう。結末のネタばらしは避けるが、本作の描くテーマが「母性」であることに変わりないことだけは主張したい。究極のマザコン・メイが辿り着く先を楽しみにコミックを読んでほしいと感じた。

 ちょっと仕事に疲れた日、癒されたいと感じる日、ナギサさんの存在は多くの読者の心を包み込む。スマートホンから気軽に読める作品なので、ぜひ通勤時間などに手にとってみてはいかがだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■書籍情報
電子コミック『家政夫のナギサさん』既刊11巻
著者:四ツ原フリコ
https://www.cmoa.jp/title/111352/

■番組概要
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜放送
出演:多部未華子、瀬戸康史、眞栄田郷敦、高橋メアリージュン、宮尾俊太郎、平山祐介、水澤紳吾、岡部大(ハナコ)、若月佑美、飯尾和樹(ずん)、夏子、富田靖子、草刈民代、趣里、大森南朋
原作:『家政夫のナギサさん』(四ツ原フリコ著/ソルマーレ編集部)
脚本:徳尾浩司
演出:坪井敏雄、山本剛義
プロデューサー:岩崎愛奈(TBSスパークル)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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