ギャル文化は令和にも受け継がれる 『GALS!!』が伝えるギャル魂とは?

 作者の藤井みほなは、日々を全力で生きる蘭たちコギャルを描くことで、『とにかく子どもたちに、「まわりがなんと言おうといいじゃないか。自分の価値は自分がわかっていればいいんだ」と伝えたかった』と語っている。(https://news.livedoor.com/article/detail/17691576/)

叩かれてもバカにされても、うちらは強く生きていかにゃならんのよ。そーやってますます無敵になっていくのだ!それがギャルのパワーってもんだろッ?

 周囲の人間だけではなく、自分自身を肯定できる蘭の姿に当時励まされた読者も多いのではないだろうか。

 そして、連載終了から17年ぶりに復活した続編では、高校卒業後の蘭・美由・綾たちが描かれている。変わらず“ギャル道”を突き進む蘭は、警察官採用試験に向けて勉強に励む(?)日々。本編の最終回で大和と結婚した美由は甘い新婚生活を送りながら短大に通い、綾は乙幡と同じ大学で楽しい日々を過ごしている。

 もちろん、少し大人に一歩踏み入れたとはいえ、彼女たちの輝きは失われていない。蘭の彼氏であるタツキチに思いを寄せる幼なじみの奈津、乙幡と綾の関係に水を差す謎の大学生・颯ら新キャラクターの登場や、美由に対するチーマー時代の仲間からの誘いなど、ハラハラドキドキする展開が待ち構えているが、これまでも数々の困難を友情の力で乗り越えてきた3人に死角はないのだ。

 一方で、本編では一貫してクールだった乙幡の綾に対するデレの部分や、美由と大和のより濃度を増したイチャイチャなど、ファンにとっては堪らない場面も惜しみなく詰め込まれている。

 好きなファッションとメイクを身にまとい、自分と身の周りにいる友達や恋人、家族を大切にする――90年代から脈々と受け継がれているギャルのスピリットは、私たちの世界を明るく照らしてくれる。当時のファンのみならず、多くの人に『GALS!!』の中で強く生きている蘭・美由・綾の3人から“ギャル魂”を受け取ってほしい。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter:@bonoborico

■書誌情報
『GALS!!』1巻(りぼんマスコットコミックス)
著者:藤井みほな
出版社:集英社
価格:本体440円+税
https://www.s-manga.net/items/contents.html?isbn=978-4-08-867584-8

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