2.5次元俳優・和田雅成「朝ドラに出ることが夢!」 進んできた道と見据える未来
近年だけでも『弱虫ペダル』『刀剣乱舞』『おそ松さん on STAGE』『はたらく細胞』、ミュージカル『薄桜鬼 志譚』ほか、多くの人気舞台に出演し、また映画『映画刀剣乱舞-継承-』ドラマ「テレビ演劇 サクセス荘」シリーズなど、映像作品でも活躍中の俳優、和田雅成の『―1stフォトエッセイ 邂逅(かいこう)』が発売になった。
雑誌『月刊ザテレビジョン』での連載や関連媒体からの写真やインタビューをメインに、新規撮りおろしやコラムを収めた本写真集に関してはもちろん、和田自身の現在の思いに迫った。明治座初主演を務めたときのプレッシャーや、「役者を辞めようと思った」という1年半前の葛藤、それを乗り越えさせた宮本亜門との出会い、「朝ドラに出たい!」との目標までたっぷりと聞いた。(望月ふみ)
タイトル『邂逅』に込めた、手に取ってくれた方への思い
――今月、1stフォトエッセイが発売になりました。『邂逅』(かいこう)というちょっと難しいタイトルですね。
和田雅成(以下、和田):写真集『初戀』も同じくKADOKAWAさんから出させていただいたんですが、どちらもオシャレなタイトルですよね。『初戀』は、言葉の音だけ聞くとちょっと恥ずかしい感じがありますが、“戀”という旧漢字にすることによって、印象が変わるなって。“戀”の漢字に入っている糸(の字)に手繰り寄せられて出会った、そんな運命的な意味に思えます。『邂逅』にもめぐり逢いという意味があって、どちらもお仕事で付き合ってきた方々だけでなく、手に取ってくれた方に対しても、そういう思いが伝わればいいな、と。僕の解釈ですけど。
――『邂逅』の出来上がりをご覧になった感想は?
和田:カメラマンさんによって、僕ってこんなに色が変わるんだなって。
――それはすごく思いました。写真によって顔が全然違います。何人もの写真家さんが参加されているんですね。
和田:そうなんです。連載をまとめたということもあって、すごく贅沢な1冊になっています。最後のページを見て、こんなにたくさんのカメラマンさんに撮ってもらったんだ!と驚きました。自分自身、楽しめましたし、初めて手に取ってくれた人にも、楽しんでもらえると思います。いい1冊になったなと思っています。
――挙げるのが難しいとは思いますが、特にお気に入りの写真、シチュエーションは?
和田:うわー、困った(苦笑)。『初戀』でもご一緒したカメラマンの神藤剛さんは、飾っていない僕を撮ってくれるんです。後ろ姿とか、くしゃみや咳をしたり、跳んでる瞬間とか。撮るよと言われて構えていない、ただ僕が普通に過ごしている瞬間を切り取ってくれるのが上手くて好きです。あとはやっぱり決め顔も好きですね。表紙にも使われているロングコートの写真とか、表紙のすぐあとにある写真も好きです。
ここ数年、物事の捉え方に変化が
――色んな顔が見られますが、最近、ぐっと大人っぽくなられたような。
和田:嬉しいです! 最初に2.5次元俳優として出始めたときは、後輩の立場になることが多かったんです。でもここ2、3年で若い子が増えてきて、上になることが多くなりました。それも関係しているのかもしれません。物事の捉え方も変わりました。
――どんな風に?
和田:以前はただがむしゃらでした。もちろん今もそうした部分はありますけど、もうひとりの自分を置けるようになったんです。そして、自分はこれをやりたいけれど、違う選択肢を取ったら、また違う世界が広がるかもしれない、そっちも見てみたいなと、多面的に考えられるようになってきました。
――余裕が出てきたのでしょうか。
和田:余裕ならいいんですけどね。大人の男性の魅力のひとつは、余裕だと思いますが、役者っていつまでもがむしゃらだと思うんです。ただそれプラス、周りを見たり自分の現状を知ることも大事だなと。そのためには何が最善かを、いま模索しながら、もうひとりの自分が俯瞰で見ている感じです。
「死んでしまうんじゃないか」と感じた主演舞台
――2年ぶりの書籍です。この2年間は映像作品も増えました。役者としてどんな期間でしたか?
和田:連載を始めたとき、明治座での主演舞台『薄桜鬼 志譚』をやらせていただいたタイミングでした。役を生きるというのはどれだけ大変か、分かっていたつもりでしたが、この舞台でそれを実感しました。
――明治座での主演は、すごいことですよね。
和田:とんでもないことです。周りからの見られ方も変わります。プレッシャーでしたし、土方歳三という人物を生きることのプレッシャーもすごかったです。新撰組の仲間たちもみんな死んで、自分もボロボロになって……。そうした舞台をずっと続けていたからか、千秋楽の時に、全2幕の、1幕と2幕の間、座っているときに本気で「ここから出ていったら死んでしまうんじゃないか」と感じました。
――それは役に入り過ぎて?
和田:わからないんです。精神も体力も限界に来ていたからかもしれませんが。共演者に仲のいい役者の椎名鯛造がいたのですが、そのときは「声をかけられなかった。何かが出ていた」と言われました。何かの境地に入ったようでした。その状況で舞台に立てた、あの世界を生きられたというのは、これからの役者人生での強みになったと、終わってから感じました。