『ハイキュー!!』月島蛍はいかにしてブロックの要となった? 冷笑していた少年がガッツポーズを見せるまで

月島がバレーボールにハマる瞬間

19巻の帯には「月島、覚醒。」と描かれた

 夏合宿をきっかけに月島は、鳥飼コーチにも自ら教えを乞うようになるなど少しずつ変化を見せる。もともとの経験と、頭脳、身長。そして冷静さ。それらを活かして、月島は次第に烏野のブロックの要となっていく。

 決定的だったのは、春高予選決勝。白鳥沢学園との対戦で、主砲・牛若を止めたときだった。対牛若のブロックを試合中に研究し即実践、そしてついに美しいブロックを決めた。「たかが部活」と事あるごとに呟き、たとえ自分がブロックを決めても「25点中の1点にしか過ぎない」と考えていた月島が、初めて見せたガッツポーズ。

 自分のプレーが決まったこの瞬間、プレーすることに快感を覚えた月島が深くバレーボールにハマッた瞬間でもあった。

 部活を一生懸命やってどうするんだと斜に構えていた月島が高校を卒業してからもバレーボールを続け、Vリーグで活躍をする。もし烏野に進学していなかったら、月島の運命は大きく違っていただろう。

 春高、音駒高校との対戦。黒尾から「最近のバレーはどうだい」と問われた月島はこう応える。

「おかげさまで極たまにおもしろいです」

 静かに情熱を燃やす、月島のバレーへの探求はいつまでも続く。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『ハイキュー!!』(ジャンプ・コミックス)既刊43巻
著者:古舘春一
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/haikyu.html

関連記事