『Dr.STONE』石神千空が示す、新時代のジャンプヒーロー像 天才科学少年の熱い信念

 本作は、徹頭徹尾、科学的マインドで描かれる。そのマインドを貫くのは、本作の中心にいる石神千空の視点だ。

 彼のキャラ造形は非常にフレッシュで魅力的。人類史へのオマージュという壮大なテーマの中で、少年ジャンプ的な「友情・努力・勝利」を実行させている。作中でも再三いわれてるような「ヒョロガリ」の肉体でありながらスケールの大きなヒーローなのだ。

 石化中に何千年も秒数を数えてきたというのも破格の情熱だが、たとえば第1話で大樹が復活したときのセリフはいかにも少年ジャンプ的。「ずっと待ってた    大樹テメーを    100億%生きてるって分かってたからな!    杠に(好きだと)言うって決めた    男が志半ばで     たかだか数千年ぼっちふんばれねえような    んなタマじゃねえだろテメーはよ!」というものだ。

 千空は、何千年という時を超える「友情・努力・勝利」というマインドも持ち合わせている。千空は登場人物たちに科学的なロジックだけでなく、科学的希望に導かれる精神の強さも説くのだ。千空は修行で強くなるわけではない。しかし、勝利に向けて強靭な意志で1つ1つの課題をクリアしていく姿は、今のような時代だからこそ求められるヒーロー像だと言えるだろう。

関連記事