『JJ』編集長が語る、ファッション誌の進む道 「リアルなことじゃないと読者にはもう響かない」

学生の「リアルな声」が雑誌を動かす

ーー現在は読者だけでなく、クリエイティブサイドにも大学生を採用し、リアルな声を拾って読者にコミットする内容を作っているとのことですが、学生を積極的に採用しようと思ったきっかけや実際に一緒に働いてみて感じることを教えてください。

今泉:前述の700人のスナップ撮影をした際に、『JJ』を知らない子がいて、それがすごくショックでしたね。メインとなるターゲット層がもともと雑誌を読まない世代なので、どうしたら読んでもらえるかを考えた時に、『JJ』のスタッフサイドにも大学生をたくさん採用しようということになりました。やっぱりその世代じゃない人たちがいくら若い子のことを話しても説得力がないし、肌感としても読者層に伝わらないんです。なのでJJ girlという大学生のスタッフたちと一緒にJJを作ろうという結論に至りました。編集部で「これ本当に流行ってる?」などと企画に関して彼女たちに相談することもあります。リアルな声を聞けるので、とても助かっています。

ーー今後『JJ』をどうしていきたいか展望を聞かせてください。

今泉:一番の目標は大学生がみんな『JJ』を知っている状態を作ることです。大学生がターゲットだとはっきり明言している雑誌はないと思いますし、他誌は読者が誌面に出てきている感じが少ないと思うので、そこで勝負をかけたいですね。『JJ』より若い高校生向けの雑誌で販売数の多い『Popteen(ポップティーン)』(角川春樹事務所)や、『Seventeen(セブンティーン)』(集英社)はそこが上手いなと思います。「Popteenカバーガール戦争」や同じくPopteenの「レギュラーモデル総選挙」などは読者が参加している感じがすごく出ていて、応援しながらのめり込んでいく様子がわかりますよね。作られたモデルや作られた表紙とかは求められておらず、リアルなことじゃないと読者にはもう響かないのではと思っています。もったいないなと感じるのは、高校生まで『Popteen』や『Seventeen』を読んでいた子たちが、大学に進学すると急に雑誌を買わなくなってしまうこと。雑誌を読まなくても、スマホが自由に使えて情報が入ってくることが要因で離れていってしまうのかなと考えています。『JJ』自体も読者を巻き込むことで、多くの人に『JJ』という存在を知ってもらいたい。JJnetや本誌、イベントなどで『JJ』の冠をつけたらみんなが安心して楽しめるようにしていくこと。ここに持っていくのに3~5年はかかると思いますが、それが今我々の目指している場所です。

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