『名探偵コナン』黒ずくめの組織の目的は? コナンたちの推理を振り返る

今、どこまで黒ずくめの組織を追い詰めてるの?

 現状、コナンは黒ずくめの組織のボスの名前、ボスのメールアドレス、そして組織が起こしたいくつかの事件を掴んでいるが、相手が強大かつ得体のしれない存在なために、手を出せない状態のようだ。しかし、コナン以外の存在を考慮すると、もう少し事態は前進している可能性がある。

 まず、コナンは両親や阿笠博士の協力を得て黒ずくめの組織を追っているが、赤井秀一が所属するFBI、安室透が所属する公安警察、水無怜奈の所属するCIA等も、同じく組織を追っている。

 彼らは一枚岩ではない。コナンは赤井達を信用して協力関係を持ちかけることもあるが、自分が幼児化した秘密については、徹底して明かさない。そして大人達も、頭の切れる一小学生であるコナンに、すべての情報を与えているわけではないだろう。

 新一がコナンとなるずっと前から組織に目を付けて潜入捜査を行ってきた彼らが、コナン以上の情報を持っている可能性は高い。赤井はライというコードネームを与えられるほど潜入捜査官として深入りしていたし、安室もバーボンとして潜入する中でベルモットと「あの方」の関係について重要な情報を掴んでいる。彼らの全ての情報を合わせれば、コナンや読者の認識よりも、いいところまで行っている可能性は、無きにしも非ずである。

 すでにFBIとCIAは取引をし、組織内で潜入捜査を続ける水無怜奈が、FBIに情報を提供している。工藤邸でついに直接対面した赤井と安室、そして工藤家の3人が協力体制を取ることがあれば、組織を追い詰める大きな一歩となるのかもしれない。

 現在の物語の焦点にあるのは、組織のNo.2であるラムの存在。組織内でささやかれる人物像として、ラムに関するヒントを最初に語ったのは灰原だ。また、話は遡るが、コナンがボスのメールアドレスを掴んだ時、灰原はそのアドレスとボスの正体について、思わせぶりな態度をとっていた。これが46巻の出来事だ。そして、コナン達が「烏丸蓮耶」にたどり着いたのは95巻のエピソード。もしも、灰原がすべて知っていたのだとしたら……。

 やはり、『名探偵コナン』の物語のカギを握るのは灰原だと言っても、過言ではないだろう。

■宮崎栞
編集・ライター・プランナー。編集プロダクションでエンタメ系の書籍・雑誌制作に多数携わり、現在フリーランスとして活動中。Twiter(@siorin7work

■書籍情報
『名探偵コナン』1〜98巻発売中
著者:青山剛昌
出版社:株式会社 小学館
https://www.conan-portal.com/

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