白石麻衣の写真集『パスポート』はなぜ売れ続ける? “乃木坂46の開拓者”の功績

何年経っても古くならない傑作

 一方では、一糸纏わぬ鮮烈なショットもある。青の海岸線をバックに、白石がオーバーオール1枚だけを着る横からのショットは、発売当時ファンに大きな衝撃を与えた。今改めて『パスポート』を見てみると、フルーツを素手で掴み大胆にかじりつくショットは、山下が『忘れられない人』で指に付いたザクロを舐める艶やな1枚を、さらに下着の紐に親指をかけるカットは秋元が『しあわせにしたい』でショーツに手を差しこむ様子を想起させるものがある。そういったポーズや写真の構図としても、先行した目新しさが『パスポート』には存在していた。

 『パスポート』というタイトルと秋元康が写真集帯に綴った「白石麻衣は、もう、どこへでも行ける」というコメントは、3年の時を経て、さらなる意味を持ち白石の卒業にエールを送っている。様々な記録を塗り替え、アイドル写真集におけるパイオニアとなった『パスポート』は、白石だけでなく、乃木坂46においても新たなターニングポイントをもたらした作品だ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■書籍情報
白石麻衣写真集『パスポート』(乃木坂46卒業記念 限定カバー版)
カメラマン:中村和孝
価格:本体1,800円
出版社:講談社
公式サイト

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