高橋芳朗 × つやちゃんが語る、PSYCHIC FEVERの凄み「R&Bの流儀に向き合って、この時代に見事に体現している」

高橋芳朗×つやちゃんが語るPSYCHIC FEVER

「ダンス&ボーカルグループ」という枠に収まりきらないグループ

ーーPSYCHIC FEVERのグローバルな活躍についてはどう見ていますか?

つやちゃん:普通は国内で人気を獲得してからアジアへ進出して、そして世界へ……という流れですが、彼らは最初から海外と日本を往復して個性を磨いている。メンバーのインタビューを見ていても、海外での受け入れられ方に対する解像度がすごく高いんです。「ここの国のファンはこの曲が好きで、こういう風に踊ってくれる」とか、アジア各国での反応の違いを細かく話していて。ちゃんと現地でたくさんライブをしてきた人たちじゃないと語れない言葉ですよね。私も様々なダンス&ボーカルグループを取材させてもらう機会が多いですけど、インタビューを読んでいて、PSYCHIC FEVERほど海外のオーディエンスについて解像度高く説明されているグループはいない気がする。

高橋:そこはもっと強調すべきですよね。多くのグループは海外リリースやフェス出演、ワールドツアーといった「場」を先に用意して、そこから認知を広げてようとしています。でもPSYCHIC FEVERは「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」がアジアでSpotifyバイラルに入って、まず「需要」が先に立った。その結果としてアメリカ6都市のツアー、ワーナーミュージックグループとのグローバル契約、10K Projectsへの移籍、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)への出演などがあとからついてきたわけで。インフラが需要を作るのではなく、越境した需要がインフラを引き寄せたというか。この向きの違いが決定的だし、彼らの独自性になっていると思います。

つやちゃん:ライブを見れば見るほど、音源を聴けば聴くほど、いわゆる「ダンス&ボーカルグループ」という枠に収まりきらないグループだと思います。ただ、日本における人気は、まだまだ伸びる余地があるように思います。先ほど話題に出たコラボレーションなどはその意味でも有効だと思うので、各メンバーがどんどん他のジャンルのアーティストとコラボしてほしいですね。あのシンガーやラッパーとコラボしたら面白いだろうな、と思う人がいっぱい浮かびます。特に、日本の男性ラッパーや、USのR&Bシンガーなんかとコラボしていくと、さらに面白くなりそうです。

高橋:個人的にはアトランタ・ベースの曲でフィメール・ラッパーとのコラボに期待したいですね。きっと良い成果に結びつくと思います。あとは、海外のR&Bアーティストの来日公演のオープニングアクトを務めることで界隈のリスナーに「見つかって」ほしい(笑)。たとえば、このあいだ来日したばかりですがイギリスのガールグループのFLOとか。Y2K路線の急先鋒的なポジショニングからもPSYCHIC FEVERと相性が良さそうです。

ーーコラボといえば、志さんがフィリピンのバンド・Lola Amourと制作した楽曲「The Moment (with KOKORO)」が、フィリピンの音楽アワードの一つ『Awit Awards』にて、Best Global Collaboration Recording賞を受賞しましたね。

Lola Amour - The Moment (WITH KOKORO) Official Lyric Video

つやちゃん:すごく良い曲ですよね。

高橋:『DIFFERENT』でも「Dream Flight」や「Blowing」のような夢心地なミディアム/ミディアムスローが光っていましたが、まさに志さんはアルバム中でもこの2曲のボーカルに特にこだわりがあるみたいで。こういう甘いメロウなR&Bサウンドが自分のスタイルによくフィットすることを熟知しているんでしょうね。

ーー着実に評価は高まっているので、これからさらに多方面に出ていってほしいですね。

高橋:そうですね。あと、PSYCHIC FEVERに興味を持った方には彼らを入り口にしてLDHの他のアーティストの作品も掘り下げてみてほしいです。個人的な話になりますが、2021年にBALLISTIK BOYZの「Animal」を聴いてめちゃくちゃ感銘を受けたんですよ。すごく誠実にR&Bに取り組んでいることがこの一曲から伝わってきたし、そこにLDHの意地のようなものも聴き取れて。それなりのノウハウが確立されていないと、こんな曲はそう簡単には出てこないと思うんです。だから、そういう体験を経て3年後に「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」を通じてPSYCHIC FEVERと出会ったときは、自分の中で妙に合点がいって。これはガールグループですけど、最近ではSWEET REVENGEの「MINE」にもR&Bの良心が息づいていました。いま、特にボーイグループが志向するサウンドとしてR&Bは必ずしも主要な選択肢ではないかもしれませんが、そういうなかでLDHにはこれからも良質なR&Bを作り続けてほしいですね。

BALLISTIK BOYZ - 'Animal' Official Music Video
SWEET REVENGE 「MINE」 Official Lyric Video

つやちゃん:自分もPSYCHIC FEVERを入り口にして、LDHの他のアーティストの曲を聴き直したりしています。事務所全体での音楽的な底力というか、良い曲をたくさん歌い継いできているんだなと再発見できる。LDH所属アーティストのR&Bプレイリストなどを作ってみるのも面白そうですね!

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