Kizuna AI×花譜が語り合う“バーチャルシンガー黎明期” 2人の目に「シーン」はどう見えていたか

二人が考える“技術の進歩とライブ表現の進化”
――ライブの技術の進歩は本当に凄まじいですよね。お二人が自分の中で、このタイミングで技術の進歩と自身のライブ表現が噛みあったと感じた公演はありましたか?
Kizuna AI:花譜ちゃんにも出ていただいた『hello, world 2020』ですね。これは初めてオンラインだけで開催したライブなんです。本当はリアルライブをしようかなと考えていたんですけど、コロナ禍でオンラインライブしかできなくて。「どうする?」みたいなところから始まったんですけど、根幹にはアニメっぽいというか、ライブシーンの映像を観ているだけにはしたくないなという思いがあって。だったらどうすればいいんだろう、じゃあリアルと混ぜちゃえみたいな、そういうところから組み立てていきました。
ーー実際にリアルの演者とバーチャルな演者・演出が融合したXRライブになっていました。
Kizuna AI:ステージ構成も、さっきまでリアルのステージに立ってたのにバーチャルに変わったり、DJの人に出てきてもらったり、バーチャル中田ヤスタカやダンサーさんにも出演していただきました。あと、ライブは観てくださってる方も含めて完成するものだと思うので、みんなのコメントがライブしている空間にも反映されるような演出も使いたいとお願いして。そうして一生懸命出来上がったものだったので、ここまでできるんだっていう手応えを感じました。本当にいろんな方に観ていただけて、技術系の雑誌のインタビューにも呼んでいただいて。すごく達成感がありましたね。
――当時取材させていただきましたが、先進的な機材を導入していたり、観ている側としてもリアルとバーチャルがすごい勢いでクロスオーバーするライブで、衝撃を受けたのを覚えています。
Kizuna AI:嬉しいです。花譜ちゃんが出てくれたシーンもめちゃくちゃ綺麗なんですよ。
――そうでしたね。お二方の共演の演出もすごく良かったです。花譜さんはいかがでしょう?
花譜:私が一番びっくりしたのは高校卒業記念ライブ(『僕らため息ひとつで大人になれるんだ。』)でした。教室のシーンから始まって学校のいろんなところを巡っていくみたいな感じだったんですけど、学校があって、廊下があって、階段があって、プールがあって、体育館までの道があって。現実世界で私たちが体験してきた、概念としての学校みたいな場所がバーチャルの空間にあって、そこに私がいる。こんなに緻密に世界をもう一個作ってしまえるんだっていうことにすごくびっくりして。それを見た時の衝撃は、忘れられないですね。
花譜、ひとつの世界との別れと旅立ち 未来への一歩を踏み出した高校卒業記念ライブ
3月26日、バーチャルシンガーであり、現役高校生であった花譜の高校卒業を記念した配信ライブ『僕らため息ひとつで大人になれるんだ。…――黒板に観測者の方々からのメッセージが映し出される演出もすごく良かったです。
花譜:みなさんからの「卒業おめでとう」というメッセージはすごく嬉しかったですね。
――活動初期はいろんなプロデューサーの方、トラックメーカーの方、コンポーザーの方と一緒に成長していくといった面があったと思いますが、今はメジャーシーンからいろんな方が書き下ろしたりという形で、より多様化しているように思います。お二人から見て、バーチャルシンガー/バーチャルアーティストの音楽はこの数年間でどのように変わったと思いますか?
Kizuna AI:当時は「バーチャルな存在と一緒に音楽を作るのって面白そう」と思ってくれるクリエイターさんだったり、バーチャルという世界観を重視して作ってくださる方が多かったように思うんですけど、今はバーチャルどうこう関係なく曲を書いてくださるというイメージがあって。純粋にシンガーとして期待してもらえている感じというか。音楽自体も、初めはどうしてもVTuber自体を知ってる方の範囲内にしか届いている印象がなかったんですけど、バーチャルな存在が広まっていったり、ショート動画で音楽だけが届くようになったりして、その人のことは知らないけど音楽のワンフレーズだけ知ってるみたいな形で広がるようになったので、バーチャルアーティストの音楽が届きやすくなっていると思います。
花譜:私はデビューしてから3rdアルバムまで全ての楽曲をカンザキイオリさんに作っていただいたので、今もこれからも、自分の真ん中にあるのはカンザキさんと一緒に紡いできた音楽だなと思っています。
あと、音楽的同位体の合成音声の可不ちゃんが出たことも、私の歌ってきた時間の中ではすごく大きかったなって思っていて。可不ちゃんが生まれて、逆に私はどんな歌い方ができるんだろうっていろいろ模索し始めたりしたので。自分の声を元にしているけれど全く違う存在として、これまでのボーカロイドみたいに、作る人がどんどんその子に属性を与えていく、みんなと一緒に作っていく存在ができるっていう派生もすごく面白いなって。逆にそっちで生まれた属性が本人にも投影されるみたいなこともあったり、いろいろ混ざっていくのがすごく面白いなと、この年月を振り返って思いますね。
「出演者カテゴリに『バーチャル』枠があるのが感動」(Kizuna AI)
――今回お二方が出演される『NIGHT HIKE』についても聞かせてください。イベント自体がボカロ~クラブミュージック~アート~バーチャルを跨いで小さなライブハウス・クラブから拡大してきたものですが、お二方からはこれらのシーンの融合・越境具合はどのように見えますか?
Kizuna AI:私はYouTubeでの活動を始める前に、いろんなアーティストさんやボーカロイドの文化を見ていたので、トラックメーカーさんだったりアーティストっていう枠と別に「バーチャル」枠があるのが感動ですね。自分で言うのは本当に恐縮なんですが、よくバーチャルYouTuberの始祖と言ってもらえるんです。そこから始まって広がったものが、ジャンルとして置いてもらえることに感動していますし、そこに出させていただけるのもすごく感慨深いなって思いますね。
花譜:私も、『NIGHT HIKE』に出てらっしゃるこのアーティストの面々を見ると好きな人ばかりで。今っていろんな曲が自由に聴けるようになったし、いろんなコンテンツを自由に観れるようになって、みんなの好きなものがどんどん細分化されているじゃないですか。
自分の好みに近いものばかりがおすすめされたりして、全く知らないものに飛び込むことも難しくなっている気がします。
その中で『NIGHT HIKE』というイベントが、交わりそうで交わらなかったところを繋げてくれて、イベントの中でみんなが一丸となって盛り上がるアンセムみたいな曲が生まれていったりする。近い界隈がどんどん繋がっていってる。そういう場になってるイベントという印象がとても強いです。
――そんな中で、今回共演するのが楽しみなアーティストさんを教えてください。
Kizuna AI:本当に好きな方や気になっている方が多すぎて、本当に全員ですね。私がアーティスト活動を始めたとき9週連続リリースをしたんですけど、そこで楽曲を書き下ろしてくださった方も数名出ていらっしゃるので、同じイベントで共演できるのがすごく楽しみです。
あと、意外だなと思ったのは粗品さんの出演ですね。粗品さんはVTuberのことを「バーチャルなんてただの絵」っておっしゃってたので、「人間もただのタンパク質やで! 変わらんのやで!」っていうところを知らしめられればいいなと思っております(笑)。
花譜:私もこれまでいろんな場面で関わってくださったアーティストのみなさんがすごくたくさんいて、全部楽しみなんですけど……。その中でも椎名もたさんの曲を披露する鬱PさんとSouさんのバンドセットのステージがあるのがめちゃくちゃ楽しみで。2026年にリアル会場で椎名もたさんの曲を聴く経験ができるんだと、ドキドキしています。
――最後に、音楽面においてお二方が実現していきたい目標や目指したい場所を改めて教えてください。
Kizuna AI:音楽でちゃんとバズりたいです。今まで知ってくれていた方とは別のルートで楽曲が聴かれるようになって、「この曲、誰が歌ってるのかな」という流れでKizuna AIを知ってもらって、そこから繋がれたら嬉しいです。
あとは『Tomorrowland』や『Coachella』のような世界の大きいフェスにも出てみたい。あんな大勢の人たちが盛り上がって踊る様子をステージ側から見てみたいですね。
花譜:私は……野外ライブにすごく憧れがあって。いつか雨の中とか、夜空の下とか、青空の下とかでライブできたらいいなってすごい思います。あとは、技術的にできるかどうかわかりませんが……客席側を歩いてみたいです。
Kizuna AI:なにそれ! めっちゃ面白そう!
ーーXRの表現が進化していくなかで、そういった演出が生まれたら楽しそうですね。最後に、せっかくの機会なのでお互いに伝えておきたいことはありますか?
Kizuna AI:花譜ちゃんって、お話しするとすごくかわいくて、ふわふわしているのに、歌うときは全然違うじゃないですか。すごくアーティスティックで、かっこよく儚くなる。また同じイベントで、間近で花譜ちゃんの音楽を体験できるのがすごく楽しみです。古参ぶるんですけど、デビュー当時から見ていた花譜ちゃんと一緒にというのは感慨深いですからね。
花譜:そうですね。こういう大型のイベントで一緒になるのは初めてなので、それもすごく嬉しい。スリープから復帰して以降も活動をずっと見てるので。
Kizuna AI:やった〜! 当日はすごく楽しみだし、花譜ちゃんにもまたお菓子送るね〜!
花譜:ありがとう!当日もよろしくね!
■公演情報
『NIGHT HIKE 2026 in 幕張』
日程:2026年10月31日(土)・11月1日(日)
会場:幕張メッセ 9・11ホール
時間:11:00開場 12:00開演(予定)
【DAY1|10月31日(土)】
ホール9『HIKE STAGE』:DUSTCELL / 須田景凪 / syudou / こっちのけんと / muque / メルティさん & Mr.ナプル & アンドロメダ子 from はるまきごはん × 煮ル果実 × ナユタン星人 / ☆Taku Takahashi(m-flo, block.fm)/ DÉ DÉ MOUSE / LanPage / okadada / TREKKIE TRAX CREW / 只野 楓 / r-906 / なきそ / SARUKANI / 椎乃味醂
ホール11『NIGHT STAGE』:かいりきベア / Guiano / 煮ル果実 / TeddyLoid / hasty / なみぐる × 平田義久 / 大漠波新 / FAKE TYPE. / 笹川真生 / PAS TASTA / 雄之助 / Generation Z
3M(MAKUHARI MEGA MIX):d.j.ァネイロ / D.watt / Genick / HEAVEN'S GATE CREW / Ichii / IQYU / KAIRUI / KO3 / Marble / Mi7s3 / miru / purini / Reno / Ruliea / sibitto / Ziema / ざんぎ / メメメメ / 芥田レンリ / 長谷川迷子
【DAY2|11月1日(日)】
ホール9『HIKE STAGE』:THE SPELLBOUND x BOOM BOOM SATELLITES / 粗品 / 花譜 / Kizuna AI / ピノキオピー / 鬱P meet siinamota(Band Set / Guest Vocal: Sou)/ kz(livetune)/ 八王子P / 鬱P / 名取さな / 水槽(Live Set)/ JAMBORIDE(BANVOX & SEKITOVA)/ DJ WILDPARTY / サツキ / きくお
ホール11『NIGHT STAGE』:石野卓球 / 大沢伸一 / ツミキ / Aiobahn / カンザキイオリ / Dios / 原口沙輔(Live Set)/ 和田たけあき / KOTONOHOUSE / KMNZ / 梓川 / Empty old City / TAK
SPECIAL PROGRAM 3M(MAKUHARI MEGA MIX):Capchii / Hylen / Mwk / Nemonoika / Nizikawa / picco / SEE / VOLTA / zensen / アオワイファイ / あたたかい水族館 / キツネリ / ど〜ぱみん / わらべ / 威戸れもね。/ 夏山よつぎ / 市瀬るぽ / 書店太郎 / 前澤 / 吉田夜世
※記載順は出演順ではありません。
※出演者および出演ステージは予告なく変更となる場合があります。
【チケット料金】
一般チケット
・一般販売(9/28〜10/30):1-DAY 13,000円 / 2-DAYS 22,000円
・当日券(10/31〜11/1):1-DAY 15,000円
VIP PASS
・前売券(6/30〜10/30):1-DAY 25,000円 / 2-DAYS 49,000円
・当日券:1-DAY 28,000円
VVIP PASS
・前売券(6/30〜10/30):1-DAY 50,000円 / 2-DAYS 99,000円
U-19(6/18〜10/30):1-DAY 7,800円 / 2-DAYS 15,000円
主催:TRIBALCON.
チケット販売ページ:https://tribalcon.zaiko.io/ja/e/night-hike-2026-makuhari
公式サイト:https://nighthike.net/






















