Dannie May、7年越しの夢を叶えたZeppワンマン 超満員のステージで果たした“約束”とバンドの未来

Dannie May、“約束”のZeppワンマン

 Dannie Mayの東名阪ツアー『YOKAI』のファイナル公演が、10月9日、東京・Zepp DiverCity (TOKYO)で開催された。彼らにとって初めてのZeppワンマンは、9月にリリースした同題EPのリリースツアーの集大成であると同時に、2019年の結成からじつに7年をかけてたどり着いた「約束の地」。ソールドアウトとなった会場の熱気を全身で浴びながら、マサ(Vo/Gt)、田中タリラ(Vo/Key)、Yuno(Vo/Kantoku)の3人は、これまでの軌跡を自分たちの手で正解にし、そしてここから始まるまっさらな未来への期待を思いっきり爆発させてみせた。

 ステージの天井からぶら下がった巨大な提灯に灯りがともり、SEとともにステージに飛び出してきた3人。1曲目として鳴り響いたのはEP『YOKAI』のオープニングナンバー「DAME DAME」だった。和風のエッセンスを振りかけたダンスミュージックと〈うらめしや〉のリフレインが、いきなりZepp DiverCityのフロアを熱狂させる。「本当に、本当に、本っ当にお待たせしました。Dannie May始めます、どうぞよろしく!」。マサの気合いの入った言葉が、このライブの重要さを物語る。Yunoも「今日という日を俺たちの伝記に刻もうじゃないか!」とぶち上げる。「東京シンドローム」に「ぐーぐーぐー」、そして「玄ノ歌」に「ええじゃないか」。Dannie Mayの歴史を作ってきた多彩な楽曲たちが矢継ぎ早に繰り出され、そのすべてがオーディエンスを射抜いていく。

マサ
田中タリラ
Yuno

 シンガロングに掛け合い、そして手拍子に回るタオル。マサもタリラもYunoも、ことあるごとにフロアを煽り、ただでさえ高いボルテージをさらに高めていくのだった。「渋谷から始まったDannie Mayが、7年かけてついに今日、Zepp DiverCityに来たぞ!」(Yuno)、「ようこそ、約束の地へ。Dannie May始めます」(マサ)。まだライブは始まったばかりだが、曲の合間にメンバーの吐く言葉もことごとくエモーショナルだ。5曲を終えて、マサが改めて口を開く。「始まっちゃいましたね。さすがに感極まるものがあるというか」。前に別のグループに所属していたときに、彼はこのステージに立ったことがあるそうだ。この日の楽屋もそのときと同じ、妙な緊張感があったという。そのときは「こんなところ、埋まるのかな」と思っていたが、この日はフロアを人が埋め尽くしている。「7年半、前振りがありますので、存分に清算してやろうと思います」という言葉で拍手を浴びるマサの表情はサングラスで見えないが、きっと誇らしげなものだったのではないかと思う。

 何せ、「7年半ぶんの清算」である。つけなければいけない落とし前はいくらでもある。というわけでここからライブは畳み掛けるように展開していった。全員で飛び跳ねながら盛り上がった「KAMIKAZE」から「OFFSIDE」への流れで一気に加速してみせると、ファンキーなリズムとダイナミックなボーカルワークが炸裂する「りできゅらす」へ。ミニマルなビートとYunoのラップが世間の目を痛烈にブッ刺す「どうなったっていい」、妖しげなムードと洗練されたグルーヴが印象的なタリラ作の「ぬらり」と『YOKAI』収録曲と過去曲を織り交ぜながら「傲慢」まで9曲をほぼノンストップで披露する圧巻の流れに、オーディエンスも全力でついていく。

 それにしても、これだけ曲を立て続けに披露しながら1ミリも飽きないというか、むしろ次の曲が始まるたびに新鮮さが高まっていく感じは、やはりDannie Mayだなと思う。音楽的バックグラウンドも嗜好も違う3人がそれぞれの個性を持ち寄って、それを混ぜたりぶつけ合ったりしながら生まれるのがDannie Mayの音楽である。まぎれもなく「バンド」だが、いわゆる「バンド」には生み出せない世界が、彼らにはある。だからこそ「Dannie Mayって結局なんなんだっけ」というところがわかりにくくなることもあるが、その答えはやはりライブにある。いろいろな思いや「好き」を、自分たちなりに必死に噛み砕いて、消化して、それを吐き出すから、そこには嘘も虚飾もない。

 「傲慢」を終えて、Yunoが「僕はね、諦める人が嫌いなんです」と話し始めた。「人は誰しも、僕より才能あると思ってるんです。80億人、誰しもが僕より才能も運もある。自分がいちばんできてねえなってずっと思いながらやってる」と。ただね、と彼は言葉を続けた。「この世界と対決したときに俺が才能で負けることと、大好きな音楽をやめることは別なのよ。だから俺は、俺より才能あるやつがやめていくことがすごい腹立たしいわけ。なんでやめるの?って思う」。才能がないからこそ、諦めないというプライドだけで走ってきたというYuno。その姿勢が、Dannie Mayをこの場所に連れてきた。「諦めてないから、今日、立てましたよ」。泥臭いし汗臭い。でもだからこそ彼らが作る音楽には体温がある。人を惹きつける何かがある。このライブは、改めてそんなDannie Mayの姿を証明するものでもあるのだ。そして始まっていく「鴉と狐」。Yunoの思いがパンパンに注ぎ込まれたこの曲の鋭いロックサウンドは、ずっしりと重く、そして熱かった。

 そしてライブはあっという間に最終盤。Dannie Mayにとって大きなきっかけのひとつとなった「未完成婚姻論」でZepp DiverCityを埋め尽くす「既婚者」を爆誕させると、マサが再び思いの丈を口にした。Dannie Mayがリリースしてきた曲は73曲。全部愛しているし、1曲たりとも手を抜いた記憶はないが、それでも、「70回弱負けてるって思ってる」というその言葉に、彼が背負ってきたものの大きさが滲む。「7年半かかったわけ。バンドやってりゃ嫌なこともあるし、Dannie Mayがなくなりそうになったことも1回や2回じゃない」とマサ。メンバーがやめると言い出したこともあったし、マサ自身が不安に襲われて、外に出ることすらできなくなった時期もあった。それでもどうにかここまでやってきたことを、「奇跡」と彼は呼んだ。その奇跡は、彼1人だけでも、タリラとYunoと3人だけでも生み出せなかったものだ。「仲間になってくれてありがとう。バンドを続けさせてくれて、本当にありがとう」。オーディエンスに渡したそんな言葉にはとてつもない実感がこもっていた。

 その後「アストロビート」「ネガティヴジャンキー」を経て「カオカオ」で本編を締めたDannie Mayだったが、アンコールを待っていたオーディエンスに向けて、1本のムービーが流されたのだ。そこで聞こえてきたのは結成から1年ほど経ったころ、「御蘇 -Gosu-」のレコーディング時に吹き込まれた、3人の言葉だった。それぞれにメンバーへの感謝と未来への思いを語る言葉は、時を経た今、まるで答え合わせのように響く。たどたどしかったり初々しかったりするが、そこで語られている芯の部分は、あまりにも今と地続きだったからだ。そして、ここからまた始まっていく物語を照らすように、新しいバンドロゴ、ファンクラブ設立、さらに来年2月にニューアルバム『DECALAND』をリリースし全国ツアーを行うことがサプライズでアナウンスされる。そうやって次へ次へと突き進んでいく感じもDannie Mayらしい。そして最後にその「御蘇 -Gosu-」を会場一体となって響かせると、初のZeppワンマンは終演。「約束の地」をあとにし、3人は次のステージへと走り出していった。

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