Tani Yuukiに訪れる変化の季節 「未知との遭遇をしたい」日本武道館後に向き合った自身のルーツ、芽生えた冒険心

ネガティブな感情=デブリを燃料にして、宇宙に飛び立っていけたら

ーーEPの収録曲についても聞かせてください。5曲入っていて、それぞれ曲調が違いますよね。そして、ルーツの話でお父さんのハードロックの影響を聞きましたが、別にハードロックではなくて。非常にバラエティ豊かだし、ストーリー性を持って並べている印象がありました。まずこういう構成を意識したのは、どういうところからだったんですか?
Tani Yuuki:先ほどお話しした天体をテーマにした楽曲が「エブリ・デブリ」と「ムーンウォーカー」と「エイリアンズ」なんです。M1の「エブリ・デブリ」は地球、M3の「ムーンウォーカー」は月、M4の「エイリアンズ」は火星なんです。地球から旅が始まって、「サテライトブルー」は人工衛星の視点から俯瞰した曲になって。そこから月、火星と経て、次の星間飛行のための「コールドスリープ」という。そういうストーリーの構想を落とし込んだ並びになってます。
ーーそう聞くと「エブリ・デブリ」は、たしかに地上っぽい感じがありますね。この曲はフォーク/カントリーの曲調で、生楽器のサウンドで、Taniさんの歌とすごく相性がいいなと思ったんですけど、やってみてどうでしたか?
Tani Yuuki:関わっていただいたミュージシャンの方々が本当に素晴らしくて。生楽器で、生演奏で、スタジオのその場のグルーヴを生かして演奏していただいた曲なんですけど、3回通しただけで「もう最高ですね」ってなるような感じでした。「地上感がある」というのは本当におっしゃる通りで、旅立ちの祝祭感みたいなものを表現したいと思っていたので。ミュージシャンの人たちとのレコーディングスタイルともマッチしたと思います。あとは、前回の『Tani Yuuki Live Tour 2025 "Still love... this"』での「後悔史」と雰囲気が近いと感じるところもあって。ちゃんとサウンドの繋がりも持てたかなっていう感じがしています。
ーー歌詞や曲名についてはどうでしょう?
Tani Yuuki:「デブリ」っていうのは、スペースデブリという宇宙を漂うゴミのことで。この曲もそうなんですけど、今回のEPは宇宙をテーマにしているとはいえ、日常の出来事や感情をそのコンセプトに当てはめて語っている曲がほとんどで。「エブリ・デブリ」は、日常の中で生まれてくるネガティブな感情、いわゆるデブリを燃料にして、宇宙に飛び立っていけたら、毎日を生きていく推進力にできたらっていう曲なんです。だから「エブリデイ」と「デブリ」を掛け合わせて「エブリ・デブリ」になっているという。それがカントリー調の祝祭感のあるサウンドと相まって、背中を押してくれるような雰囲気の、みんなで肩を叩き合いながら前に進めるような曲になった感じですね。今までは「おかえり」という曲がライブのラストの定番だったんですけれど、そこに並べられる曲ができたなと個人的には思っています。
ーー「サテライトブルー」はどうでしょうか。これは「エブリ・デブリ」に比べると、一転して内にこもっているようなイメージがあります。
Tani Yuuki:完全に内にこもっていますね。この曲は神様の視点で一人の人間を俯瞰して見ているような曲です。この曲の主人公は、最初、良い状況にはなくて。でもちゃんと季節は巡って、感情も巡って、最後には新たな兆しがちゃんと見えている。そういう自然な流れを俯瞰して歌っている曲です。ここにいる主人公は、もしかしたら僕自身かもしれないし、聴いてくれている誰かかもしれないし。止まない雨はないよというか、その痛みが永遠に続くわけではないよ、というようなことを主人公の時間が進んでいくことで伝えられたらいいなと思っている曲です。
ーーこの曲はすごく音色に説得力があるなと思いました。ジャンルとして何かに寄せているというよりは、内省的な曲を歌うときに相応しいサウンドが選ばれているという。
Tani Yuuki:ありがとうございます。この曲は、今回のEPの中で最後にアレンジが仕上がった曲なんですけど、デモの状態から一番化けた曲だと思っています。最初はピアノ弾き語りみたいなデモを作っていたんですけど、僕のディスコグラフィーにはないシューゲイズ的なサウンドが最後に入っていて。この曲が一番新たなチャレンジをしているんじゃないかと思うし、個人的にもすごく好きな曲ですね。今回新しく関わってくれた人たちの力を借りて、シンセベースをスタジオで入れたり、みんなでアイデアを出し合いながら作っていって。内省的で孤独な部分を歌っている曲ではあるんですけど、制作は全然孤独じゃなくて。だから俯瞰しているのかもしれないですね。おそらく昔の自分が曲の主人公で、それを今の自分が俯瞰して見ている、みたいなことなんだろうなと思いました。

ーー「ムーンウォーカー」は岩崎慧さんとの共作で、軽やかなリズムの曲です。これも新しいチャレンジの曲だったのではないでしょうか?
Tani Yuuki:おっしゃる通りです。「サテライトブルー」が一番化けた曲なら、これは今回のEPで一番チャレンジした曲ですね。岩崎さんにはサビのメロディのアドバイスをいただいたり、ほぼプロデュースしていただいたぐらいの感じです。この曲はワンコーラス作ったところで、そのまま自分でその世界を押し広げても面白くないなと思ったんですよね。そこで岩崎さんに「続きを作ってください」とお願いして。アレンジも含めて、返ってきたサウンドが今っぽいというか、すごく良くて。そこに僕なりのメロディだったり、ラップを入れたくなったんです。僕自身、これまではこだわりすぎていたというか、曲を作ることに対してすごく頭が固くなっちゃっていたところもあった気がしていて。人に預けるっていうのは僕にとってチャレンジだったんですけど、これが返ってきた時に、岩崎さんに任せてよかったなと思えたんですよね。
ーー2ステップのビートで、EDM的な展開もありますね。
Tani Yuuki:これまでも僕なりにEDMっぽいJ-POPは出してきましたけど、この曲も僕のディスコグラフィーにはないタイプの曲になったし、人とのコラボじゃなく自分の曲でちゃんとラップしたのは初めてなので。すごく新鮮な気持ちで作れた楽曲になったかなと思っています。



















