Tani Yuukiに訪れる変化の季節 「未知との遭遇をしたい」日本武道館後に向き合った自身のルーツ、芽生えた冒険心

Tani Yuukiに訪れる変化の季節

 Tani Yuukiが新作EP『SPACE RENDEZVOUS』をリリースした。

 EPは宇宙をテーマにしたコンセプチュアルな作品。ひとりの少年が地球から宇宙へと旅立つ冒険の物語を描き出し、そのモチーフに日常生活の感情を重ね合わせるような全5曲が収録されている。

【Tani Yuuki】2nd EP『SPACE RENDEZVOUS』全曲Trailer ( 2026.10.14 Release )

 新作では、ストーリー性あるテーマだけでなく、曲調やサウンドでも意欲的に新機軸を打ち出している。ぬゆりがアレンジに加わった「エイリアンズ」や岩崎慧との共作「ムーンウォーカー」など、初タッグとなるコラボレーションで新たな音楽性を開拓している。

 シンガーソングライターとして次なるモードに足を踏み入れた彼の現在地について、話を訊いた。(柴那典)

“初期Tani Yuuki”から飛び立ちたいーー日本武道館を経て生まれた心境の変化

ーーまずは振り返っての話を聞かせてください。2025年12月には日本武道館でのワンマンライブも実現しましたが、それを終えて、どんなことを思いましたか?

Tani Yuuki:ずっとファンの方とも夢として共有してきた武道館に無事立って、しかも武道館ならではの360度ステージでやらせていただいて、達成感はすごくありました。演出もいろんな人に協力していただきましたし。それに、ダンサーの子たちは、僕が小中学生の頃に通っていたダンススクールの子たちだったんですよ。そういう自分の辿ってきた文脈もあったし、5周年ではありましたけど、自分が生きてきた20数年を回収できるようなライブだったと思ってて。ただ、今振り返ると、終わってすぐは、いわゆる燃え尽き症候群みたいなものもあったかもしれないなとは思います。

ーー目標に辿り着いたら、じゃあその先どうする? となりますよね。

Tani Yuuki:そうなんです。武道館が終わってすぐは、そういうことを考える時間だったと思います。何をしたいか、何をしていくべきかという。結局、いろいろ考えて、Tani Yuukiとして、もっといろんな音楽に出会いたい、いろんな場所に行きたいと思うようになりました。47都道府県ツアーとか、アジアツアーとか、やってないこともまだいろいろあるので。Tani Yuukiとして新しい場所に行って、もっとたくさんの人や景色に巡り合いたいというところに至った。その思いは重要だったと思います。

ーーいろんな音楽に出会いたいというのは、どういう感じなんでしょう?

Tani Yuuki:僕、音楽についてはわりとミーハーに生きてきたんです。なので、そもそも自分が聴いてきた音楽の文脈を探ってみたり、シンガーソングライターは何故それを歌っているのかを考えたり、自分の周りにいるミュージシャンがどういうジャンルを辿ってきたかを調べたりもしました。そういう知識的な部分も大きいですね。あと、お母さんはJ-POPが好きで、お父さんは洋楽のハードロックが好きで。僕は2000年代のJ-POPを聴いて影響されてきたんですけど、お父さんのハードロックの文脈を探ったことがなかったんです。でも、27歳になって考えが変わったのか、改めてそこが面白いかもと思った自分がいて。

ーーハードロックはどのあたりですか?

Tani Yuuki:子供の時に車でかけてくれてたDeep Purpleとか、Iron Maidenとか、Queenとか、TOTOとか、そのあたりを探ってみると、エレキギターのカッティングとか、重厚なコーラスワークとか、僕が曲を作るときに好きでよくやることが意外と詰まってた印象があって。あと、僕はBUMP OF CHICKENの「ゼロ」という曲が大好きですごく聴いていたんですけれど、Led Zeppelinの「Stairway to Heaven」を聴いてそこにつながる文脈を発見したり。知らないことがいっぱいあったなと思いました。

ーー自分につながる音楽の文脈を掘り返したら実りがあった、ということですね。

Tani Yuuki:ありましたね。お父さんが僕に「エレキギターを弾かないのか?」みたいに言っていた気持ちも今なら理解できるし、ハードロックがちゃんと血の中に流れてるなって思います。お父さんもお母さんも僕も、それぞれ違うアーティストを聴いてきたけど、結局みんなメロディが好きだから聴いてたんだなって思ったりもしたし。そういう自分の文脈もあるし、今回のEP制作に携わってくれた方から、自分が通ってこなかった音楽をリファレンスに挙げていただくこともあって。聴いてみるとすごくいい曲で、「こんな人がいるんですね」っていう発見があったりもして。そういう音楽との出会いをもっとしたいというのもありました。

ーー新作の『SPACE RENDEZVOUS』を聴いて、まず印象的だったのは新機軸のサウンドや音楽性にトライしているということだったんです。代表曲の「W/X/Y」や「Myra」や「もう一度」の方向性を続けていくのではなく、それをいわば「初期Tani Yuuki」と位置づけて、改めて新しいことを始めるという。そういう変化が生まれてきたのではないかと思うんですが、どうでしょうか。

Tani Yuuki:おっしゃる通りだと思います。僕がギターを始めたきっかけのゆずさんも「変わり続けることが結局『変わらないこと』だ」みたいなことを言っていて、ほんとその通りだと思うんです。ずっと「初期Tani Yuuki」を続けていくことは、裏を返せばそこに縛られ続けるみたいな意味合いも出てくる。それこそ『SPACE RENDEZVOUS』というタイトルのように、そこから飛び立ちたくなったんだと思います。

ーー『SPACE RENDEZVOUS』のコンセプトやアイデアは、どんなとっかかりから生まれたんでしょう?

Tani Yuuki:これもお父さんの話になっちゃうんですけど、お父さんは、宇宙の起源とか惑星ができる仕組みみたいなことを語ってるサイエンスチャンネルが好きでよく観ていた人で。そういう真面目なチャンネルばっかりじゃなく、UFOとか未確認生物も好きでよく観ていたんです。僕もそれを観ていて、宇宙はずっと好きだったんですよね。それで、いろんな人や音楽、場所とか文化とか、自分の知らなかったものに出会いたいという思いから、宇宙をテーマにしたいと考えるようになりました。いわゆる未知との遭遇をしたい、という。

ーー新しいところに飛び立ちたいという漠然としたイメージが最初にあって、そこから発想が広がっていったという?

Tani Yuuki:そうですね。そこから太陽系の天体をテーマに曲を作りたいとか、いろいろアイデアを広げていきました。

ーーこれまでも作品とツアーのコンセプトがつながることはありましたが、今回のEPと11月から始まる『Tani Yuuki Live Tour 26-27 “SPACE RENDEZVOUS”』ツアーが連動するようなイメージはありましたか?

Tani Yuuki:そうですね。このEPをより拡張したものをライブでできたらいいなと思います。シンプルに星空とか宇宙をライトで表現することにトライしてみたいなというのもありますし。この『SPACE RENDEZVOUS』に込めた思いとしては「人と出会いたい」というものがすごく強いので。だからこそライブは今回のテーマを落とし込みやすいなって思います。まだ何も決まってないんですけれど、構想としては、今回の“SPACE RENDEZVOUS”ツアーでそれを終わらせたくないと思ってるんです。ここからもっと輪を広げていきたいし、広がっていくさまを描きたい。新しい出会いを重ねながら、すでに出会ってくれている人たちとも音楽での関係を深めて、何かを生み出したい、作り出したい。それが今回の『SPACE RENDEZVOUS』の構想なので。そういう「もっと出会いたい」という思いが一番叶う場所がライブだなって思います。

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