10-FEET、一か八かの局面に滲むバンドマンとしての生き様 『アオアシ』OPテーマで目指した“モダンかつビンテージ”な音像

10-FEET『アオアシ』OPテーマでの新境地

 サッカーの熱狂、試合の情景をありありと描き切る中に、ロックバンドとしての生き様が滲む――10-FEETの新曲「Fortress Defense」(10月5日配信リリース)は、そんな1曲に仕上がった。出だしからラストスパートまでスピーディかつエネルギッシュに駆け抜けつつも、ダンサブルなグルーヴを持ったサビがメロディとリズムの緩急を生み出し、熱気の中にどこかクールな色合いを加えていく。TVアニメ『アオアシ Season2』(NHK Eテレ)第1クールのオープニングテーマであり、近年の10-FEETの新たな王道になりつつあるスポーツを題材にした書き下ろしである同曲。「第ゼロ感」にも通ずる4つ打ちのビートを異なるアプローチで取り入れた「Fortress Defense」は、まさにバンドの“王道”を更新する可能性を秘めた1曲とも言えるだろう。結成30周年を目前に控えつつ、ライブでも制作でも高いハードルを課すことを楽しみながら前進し続ける10-FEETの3人に、ツアーの手応えも含めて話を聞いた。(信太卓実)

「壊れて消えるまで」が広げたセットリストの幅

――まず、『10-FEET “壊れて消えるまで” ONE-MAN TOUR 2026』が本当に素晴らしいツアーで。初期の曲が増えてきていたり、「壊れて消えるまで」がセットリストの中でより大事な位置を占めるようになってきていたり。手応えはいかがでしょうか。

TAKUMA:最近また昔の曲をチョイスしてよくセットリストに入れるようになったりしていて。たくさん曲もできるし、楽しいですよ。「壊れて消えるまで」もだいぶ馴染んできているというか。セットリストにおける位置もそうですし、「一息ついてからやろう」とか、「何か喋ってからやろう」とか、間違えて突然始めてしまったりとか、そういうことが僕らのライブにはよくありますけど、「ああなったのが逆によかったな」って思えることが「壊れて消えるまで」には多いかもしれないですね。

――KOUICHIさん、めっちゃ頷かれてますね。

KOUICHI:そうですね、馴染むの早い曲やなとは思ってたんで。お客さんに伝わってるなっていう感じもするし、この先もずっとセットリストに入ってくるような曲になるんじゃないかなって思います。

――NAOKIさんはいかがですか?

NAOKI:「壊れて消えるまで」はツアー時点での最新曲ですし、パート的に自分の中ではハードルが高い曲でもあったので、演奏することに集中して、程よい緊張感を持ちながらプレイできてますね。10-FEETが出してきた曲の中でもあまりなかったタイプだと思ってるので、それがあることでセットリストの幅も広がったのかなと。

10-FEET 撮り下ろし

「流行り廃りではないかっこよさを宿らせてくれるものが根幹にあるべき」

――そんな中で、新曲「Fortress Defense」はまた別の新しさを持った楽曲ができたなと感じました。もともと種としてあった部分と、『アオアシ』に向けて新たに書き下ろした部分、それぞれどんなバランスでしょうか。

TAKUMA:それで言うと半々ですね。サビのダンサブルな部分とかはコロナ禍以前くらいからあって、あとはわりと最近書いていったような感じです。

――サッカーの試合の実況を聞いているかのように、歌い出しから一気に熱狂に巻き込まれていく感覚でしたが、どのように曲を構築していきましたか。

TAKUMA:ロックとスポーツってすごく合うというか、アニメの内容を思い浮かべただけでもいろいろな音楽が頭に流れてくるので、やってて楽しい制作でしたね。スピード感とか瞬発力、突っ走っていくパワー、図太くて猛々しい力強さがほしかったので、それがラップパートとかに出たんじゃないかなって思います。あとは曲のアレンジとか歌のアプローチがわりと早い段階でイメージできていて、それ自体がすごく魅力的やったから、そこを活かしたいなと思ってました。

――それがもともとあったというサビのフレーズでしょうか。

TAKUMA:そうですね。まあイメージがしっかりあったからこそ、そこに対する精度みたいなものが気になってしまって若干時間はかかったんですけど、何をどう頑張ったらいいのかが明確だった分、比較的やりやすかったとは思います。大変やったけど(笑)。

――NAOKIさん、KOUICHIさんは「Fortress Defense」を聴いた時はどう感じましたか。

KOUICHI:曲の構成とか終わり方もあまりないものになっていて。デモの段階からいい曲だと思ったので、それをバンドで広げることで新しさを出せているのかなって思いますね。

NAOKI:サビのダンサブルでディスコチックな感じっていうのは、これまであまりやってこなかったものなので。そこをよりノレるようにするためにっていうイメージでプレイしました。

10-FEET – Fortress Defense(TVアニメ『アオアシ Season2』第1クール オープニングテーマ)

――まさにそのサビですよね。もともとあったフレーズということですけど、TAKUMAさんはどんなきっかけで作っていたんでしょう?

TAKUMA:1980〜90年代のヒップホップとかクラブのサウンドから作ったのが元ネタだったんです。僕らにしたらちょっと古くさいんやけど、フックとなるメロディやリズムのインパクトが強くて、すごくいい引っ掛かりを作れるなと思っていたので、それをいかに引き立てるかを考えてました。サビが来る前に盛り上がってたほうがいいのか、あるいは抑えたところから一気に盛り上げたほうがいいのかとか、そういうのも面白かったですね。サビが一番盛り上がればいいっていうわけでもなくて、そのほうが結果的にこの曲には引き込まれるんやなって。

――そういうサビにしたかったのは、見せたい景色や作りたい音楽が変わってきているからでもあるんでしょうか。

TAKUMA:というよりも、「一つひとつの方法論を気が済むまでやりたい」「その手法をやった上でのハイスコアを目指したい」っていう願望が結構あるからで。よきところで飽きてまた次に行くっていう繰り返しが、僕の音楽人生でもあるとは思うんですけど、今回はあまり飽きていない、「もっと行ける可能性があるな」って思えるパターンだったというか。例えば、「第ゼロ感」みたいにダンサブルでええ感じのやつを目指したとしても、なんか薄味で二番煎じっぽくなるだけっていうのはよくわかってるんで。面白がってそれをやる時期もあったけど、今はそうじゃなくて、「目新しいな」「やる意義があったな」って思えるぐらい、求めるレベルを高めに持っていたいなという意識がありますね。どんな曲調であっても。

10-FEET 撮り下ろし
TAKUMA

――ダンサブルやヒップホップという言葉も上がりましたけど、熱狂的なサッカーの描写の中に生き様が滲んでいる部分に、ストリート性のようなものを感じたんです。そこにダンスミュージックやヒップホップ的なアイデアがハマったのかなとも思ったんですけど、「もっと行ける可能性がある」と感じた理由をもう少し教えていただけますか。

TAKUMA:そうやなあ……。なんというか、パッと聴きではニュースクールな音楽をやってるっぽいんやけど、実は1個1個はクラシックでビンテージなものになっている……そういう意味で、ストリートというかブラックミュージックというか、そういった属性がほしかった気がするんです。流行り廃りではないかっこよさや生命力を宿らせてくれるものが、この曲の根幹にあるべきやなと。なので、グルーヴの概念みたいなものと向き合いつつ、そこに関しては最初から最後まで一貫してこだわることができたんじゃないかなと思います。

 でも、そういうのって、ホンマにかっこよくやらないと悪目立ちするから、ちょっと難しかったですけどね。ビンテージ感、クラシック感、ストリート感みたいな要素をちゃんと愛を持ってやらないと、こういう曲って小難しいものになったり、急に魅力がなくなって代わりの効く曲になってしまうんで。1曲1曲作る上で、「そうなったらあかんな」っていう意識をこまめに持つことが大事やなと近年、より思ってます。新しい曲がセットリストをどんどん埋めていくっていうのは悩みでもあるんですけど、やっぱりそういう曲にしていかなきゃいけないって思うと、「どうしたらこの曲に一番似合うアレンジになるんだろう?」って悩むことも多くなりましたし。まあ完璧にはできへんかったけど、変に硬くなって背伸びしすぎることもなく、純粋に「こういう部分をよく見せたいよね」って楽しみながら、僕らなりの“好き”や愛を持って、かっこつけられた曲になったんじゃないかなと思います。

――30周年以降の10-FEETの新しいアイデンティティ、大きな武器になっていきそうな感覚ってありますか。

TAKUMA:ぶっちゃけ、“似合ってたら”って感じかな。この感じが似合ってたら、その続きをやってみればいいんじゃないかと思います。ただ、少なくとも今は好きやから、その“好き”を持って取り組めばまだ当分ははいい感じになるやろうなと思ってやってますけどね。

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