LANA、ストリートから次世代のポップスターへ 「STARS」に刻んだ他者へのまなざしと新たなメッセージ

ドラマ主題歌「Truth in the dark」で魅せる実力と存在感
「Truth in the dark」は、ドラマ『一次元の挿し木』主題歌。ヘビィな手触りのトラック、信じるもののために生きる人々の姿を描いたリリックが響き合うミディアムチューンだ。
山田涼介が主演を務めるドラマ『一次元の挿し木』は、ヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨が、4年前に失踪した主人公の義理の妹と一致したという不可解な謎から始まるミステリー。ドラマのストーリーや世界観を汲み取りながら、LANAは真実を求め続ける人間の葛藤や勇気、そして彼女自身の実体験の中で得た言葉を結びつけてこの曲を書き上げたという。〈背負った罪だけじゃ消せない跡/叫び続けても/答えはなかった〉という胸を抉られるようなフレーズには、LANAのリアルな感情が強く刻まれているのだ。
厚みと迫力を兼ね備えたベース、壮大なシンセサウンドと骨太のビート、鋭利なギターサウンドを軸にしたトラックも強烈だが、「Truth in the dark」の核になっているのはやはりLANAの“声”だろう。日本語の歌詞に濃密なグルーヴを与え、一つひとつのフレーズに強い気持ちを込めながら、聴く者を凄まじいカタルシスへと導く。彼女のボーカリゼーションの独創性——本当に誰にも似ていないーーと世代や音楽の趣味の枠を超えて、どんなリスナーの心にも届くであろう説得力の強さ。音楽の実力と年齢は関係ないとわかってはいるが、22歳という年齢を考えると、その無尽蔵のポテンシャルに圧倒されてしまう。
この2曲に共通しているのは、“どこにも嘘がない”ということだ。マーケティング重視の制作、効率的にバズを起こす施策によってヒットに繋げる。そんな手法が存在していることは、今や誰もが知っていることだろう。だが、LANAの楽曲にはそのような作為性がまったく感じられない。サウンドから歌声、パフォーマンスに至るまで、すべてにおいて「自分はこうありたい」「この曲を、このメッセージを絶対に届けたい」という強烈な意志が漲っているのだ。そこから生まれる圧倒的なリアリティがリスナーに直接伝わり、感情と身体を揺さぶる。だからこそLANAは、こんなにも激しく、こんなにも急激に支持を高めているのだと思う。端的に言えば、“本物”なのだ。

アーティスト自身の意思、目的、スタイルが活動の中心にあることは、何よりも大事なこと。物怖じしたり、イメージを気にするのではなく、やりたいことを貫く。そんなスタンスを貫くことで強いファンダムを作り上げる構造は、BTSやサブリナ·カーペンターなど、現代のポップスターたちにも共通している。
そして、LANAの姿勢がよりダイレクトに発揮されるのは、やはりライブだ。8月4日、5日には全国ツアー『LANA LIVE TOUR 2026 “DIAMONDS IN THE SKY”』のファイナルとして、東京・国立代々木競技場 第一体育館での単独ライブを開催。「it’s okay」「No.5」をはじめとする代表曲によって超満員のオーディエンスを惹きつけ、“ストリートプリンセス”としての強烈な存在感を証明してみせた。
新曲「STARS」で刻むもの、音楽に宿る新たなメッセージ
また、8月29日には、LANAが兄のLEXとともに出演した『居場所を探す君へ LEX LANA 10代と紡ぐ歌 PASS THE MIC』(NHK Eテレ)が放送された。家庭内暴力、貧困、いじめなどによって社会から孤立する10代の若者とLANA、LEXが実際に会い、会話を交わしたこの番組は、放送直後からSNSなどでも大きな反響を集めた。
LANAは通っていた中学校の前まで行き、いじめを受けていたこと、それが原因となり、児童相談所の施設に入った経験などを語った。「強く見せないと生きられない。まっさらな状態で人に好かれるとはいまだに思えない」という言葉も印象的だった。外見に対する心ない言葉に傷ついているという14才の女性、いじめや家庭内暴力によってオーバードーズや自傷行為を繰り返してしまった18才の女性に会いに行き、自らのリアルな経験を交えながら言葉を交わす場面も。シリアスな状況にある女性に心を寄せ、丁寧に言葉を紡ぐLANA。その姿は、自らの体験や感情を真っ直ぐに表現し続ける、彼女の音楽スタイルともつながっていたと思う。

さらに番組の中で2曲の新曲がパフォーマンスされた。アコギと歌のシンプルな編成で披露された「生きる」は〈死にたいくらいの気持ちで今を生きる。〉というフレーズが突き刺さるナンバー。生きるとはどういうことか、という根源的なテーマに向き合った楽曲だ。
そして「STARS」は、美しく力強いメロディ、あまりにも生々しい感情を刻んだラップが混じり合う楽曲。「STARS」とは、深刻な状況の中にいながらも、それでも未来を信じようとする仲間たちのメタファーだ。〈朝がきたら、窓を開けて/待っているわ、歌を歌いながら〉というライン、クワイア的なコーラスを交えたアレンジを含め、LANA流のゴスペルと称すべき楽曲だと思う。
この2曲に共通しているのは、そこに込められた思いやメッセージが他者(リスナー)に向けられていること。これまでの楽曲は基本的に自分自身のために書かれていたのだが、番組の中で自分と似た境遇にある10代と出会ったことで、LANAはおそらく初めて“この子たちに何かを提示したい”と思ったのではないか。番組のパフォーマンスの際に来ていた衣装の背中に書かれた「We are STARS」というワード、そして、〈願う世界平和、その前に君を笑顔にするよ〉という歌詞がその証左だ。
現在進行のHIP HOPやベースミュージックを軸にした音楽性、リアルなストリート体験に裏打ちされたリリックによって、オルタナティブなポップアイコンとしての存在感を示してきたLANA。「翼の折れたエンジェル」「Truth in the dark」のリリース、全国ツアーの成功、番組の中で示された孤独を抱えた若者たちへのシンパシーと真摯な態度、そして、新曲「STARS」。これらのアクションを経て、彼女の存在はさらに大きいフィールドへと浸透していくはずだ。その視線の先にあるのはおそらく、次世代のディーヴァ。音楽シーンを駆け上がる新たなスターはここから、我々の想像を超えたスケールアップを果たすことになるだろう。
■リリース情報
配信限定シングル「STARS」
9月23日(水)リリース
配信リンク:https://LANA-DIVA.lnk.to/STARS

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