GANG PARADE THE LAST ROAD Vol.6:月ノウサギ「アイドルになりたかった夢を叶え切った」 嘘のない感情、“諦めない”理由

 2026年、GANG PARADEは解散する。その事実を前にして、彼女たちは今何を思うのか――。「信じたくない」といまだに思っているかもしれない。もうずっと前から終わりを覚悟していたと思っているかもしれない。あるいは、ただ静かに、胸の奥に何かが積もっていくのを感じているだけかもしれない。その最後の心の機微をリアルサウンドは全力でキャッチしようと思う。最初で最後のGANG PARADEメンバーのソロインタビュー連載をここに始める。撮影のために、メンバーにはいちばんお気に入りの衣装、いちばん思い出深い衣装をそれぞれに選んでもらった。インタビューの最後には、GANG PARADEの衣装をすべて手がけてきた外林健太のコメントも掲載する。最後の道を歩く11人の声、思いをここに刻んでいこうと思う。

 第6回目は、月ノウサギ。彼女がWACKのグループの映像を初めて見た時に感じたのは、「塊で戦っている」という感覚だったという。ニコニコして、きれいなものだけを見せるのではなく、嘘のない感情でステージに立つ人たちの姿。そこにだけ、自分が向かう理由があった。

 今回、月ノは自身が加入して最初にリリースされた作品、『GANG 2』の衣装を選んだ。その表題曲「GANG 2」に〈夢の可能性 遠ざかっていく お願いは何度でも/済んだこと悔やんで忘れはしない〉という歌詞があるが、GANG PARADEはこの歌詞の通りにずっとあり続けたグループだ。GANG PARADEとは、“諦めない”という選択を常に取ることのできる自分たちであること、それ自体が巨大なメッセージになっていたグループだと思う。これはGANG PARADEが追い求めてきたひとつの夢であると同時に、月ノウサギというひとりの少女がGANG PARADEになるもっと前からずっと貫いてきた命題でもある。諦めない自分であり続けること。諦めの悪い自分であり続けること。これこそがGANG PARADEの、そして月ノの歩んだ時間のひとつの真実であり、誰にも真似することのできない素晴らしさだったのだとあらためて思う。GANG PARADEの本質を完璧に射抜く人間がGANG PARADEのメンバーになったことに、運命を感じずにはいられない。

 澄み切った、凛と響く月ノのあの歌を聴くことができるのも、あとわずかになった。彼女の歌は、彼女自身がGANG PARADEで過ごす時間と経験を重ねていくことで、どんどんピュアになっていった。2018年にGANG PARADEのメンバーになってから8年間。グループの分裂も、コロナ禍も、仲間との別れも、すべてが彼女の体に積もっている。それが月ノウサギという人間の強さであり、この先に誇れる大きな糧になっていくのだと思う。(編集部)

めっちゃ人見知りでした。先生と話すくらいで、友だちもひとりくらいしかいなかった

――12月22日生まれ、東京都出身ですよね。

月ノ:そうです。でも、全然シティガールではないです。

――公式プロフィールに「ビジュの良い江戸っ子」と書かれていますが。

月ノ:なんか書かれてますね(笑)。

――ご兄弟は?

月ノ:弟がふたりいます。

――最初の記憶として思い浮かぶことはありますか?

月ノ:なんだろうなあ? お父さんが大型のバイクに乗るんですけど、小さい頃にちょっとした距離だけ乗せてもらってたんです。幼稚園が家から歩いて10分くらいの距離で、遅刻しそうな時に乗せてもらってました。

――どんな子どもでした?

月ノ:小学校に入る前は、めっちゃ人見知りでした。先生と話すくらいで、友だちもひとりくらいしかいなかったです。話すのが恥ずかしい、みたいな。小学校に入ってから活発になったんですよね。人見知りなのはずっと変わらず、今もなんですけど。

――習い事は何かしていましたか?

月ノ:小学校の6年間、プールに通わされました。小学校から水泳の授業が始まったんですけど、水に顔をつけることもできなくて。両親が「さすがにこれはよくない」となって、通うことになったんです。

――自主的にやっていたこと、好きだったことはありました?

月ノ:本、小説……児童書っていうんですかね。青い鳥文庫(講談社)という児童書のシリーズがあって、たくさん読んでました。漫画は親に買ってもらったのを弟と共有して読んでましたけど、児童書は自分でお小遣いを貯めて買ったりとか。あと、今振り返ると計算高い子どもなんですけど……漫画とかゲームってあんまり親が買ってくれないけど、小説はすごく買ってくれるんですよ。「いいよ! えらいねー!」って。「小説だったら買ってくれるんだ?」って(笑)。

――(笑)。思い出の作品は?

月ノ:『黒魔女さんが通る!!』『若おかみは小学生!』とかですね。

――漫画は今でも『HUNTER×HUNTER』(集英社)が好きなんですよね?

月ノ:はい。『HUNTER×HUNTER』は小学生の時にハマって、中学生くらいからアニメが本格的に好きになりました。人生で最初にハマったアニメです。

――文化系の子どもだったんですか?

月ノ:そうですね。運動は当時から大っ嫌いで。

――運動、得意そうに見えますけど。

月ノ:WACKに入ってからそう言われるようになりました。でも、学生の頃は走るのが遅くて、運動会が大っ嫌いでした。

志が同じ人たちと一緒に高い目標を目指す場所っていうのが性に合っていた

――音楽への興味はどうでした?

月ノ:小学校の頃は何も聴いてなかったです。音楽に自分から本格的に触れ始めたのは、中学で吹奏楽部に入ってから。それまではお父さんが家で聴いてるL'Arc-en-Cielくらいしか知らなかったです。

――L'Arc-en-Cielといえば、月ノさんがkenさんモデルの赤いギターを持ってるアー写がありましたよね?

月ノ:ありました。あれは父親に借りたんです。生バンドのライブに合わせて楽器を持った写真を撮ることになって、「持ってる人は持ってきてもらっていいですか?」と言われたんです。

――中学の頃、吹奏楽部で吹いていたのはバスクラリネットでしたっけ?

月ノ:そうです。

――なんで吹奏楽部に入ったんですか?

月ノ:いやあ……なんで入ったんだろう?(笑)。ピアノとかもやったことなかったし、楽譜も読めなかったし。中学生になって、部活に何か入らなきゃいけなかったんです。通ってた中学の吹奏楽部は活動が結構活発で、体験入部で楽器を試しに吹かせてもらったら「楽しいかも」と。プラス、先輩の強い勧誘に押されて、流されるまま入部……ということだったんだと思います。

――入ってみて、楽しかったですか?

月ノ:楽しかったです。中学の思い出は部活しかないくらいめちゃくちゃ情熱を持ってやっていたので。今でも、その頃仲良かった子と会って思い出を語り合ったりしています。青春でした。

――吹奏楽部って体育会系に近いですよね?

月ノ:はい。めっちゃ厳しかったです。今、自分のマインドは体育会系だなと感じるんですけど、中学の時の部活での経験が影響しているんだと思います。練習の前に絶対に筋トレをしていたんです。腹筋と背筋を40回か50回ずつだったかな? あと、廊下に寝そべって足を30cm上げて校歌の1番を歌い切るのが、ものすごくキツかったです。夏にコンクールがあるんですけど、その前は休みなしで朝から晩までずっと練習してました。練習しすぎると口が切れて、血まみれになりながらやったのも思い出です。志が同じ人たちと一緒に高い目標を目指す場所っていうのが性に合っていたんだなあと、今となっては思います。

――その頃は自分から音楽を聴くようになりました?

月ノ:聴いてはいましたけど、何を聴いてたんだろう? でも、アイドルには全然興味なくて、どちらかといえばアニメやボーカロイドとか、2次元でした。

――高校に入ってからどうでした? ダンス部でしたよね?

月ノ:1年間だけ(笑)。「何かやりたいな」って思って入ったんですけど、活動がゆるくて、文化祭くらいしかやることがない感じだったんです。それが物足りなく感じちゃって、「いる意味ないかも」と、1年間でやめました。だから基礎的なアイソレとかをやったくらいです。やめてからはずっとバイトしてました。最初は知り合いの焼鳥屋さんで働いて、そのあとに友だちに誘ってもらって、しゃぶしゃぶ屋さんで働きました。着物を着て働いていたんですよ。

――自分で着るんですか?

月ノ:そうです。まず着付けを習いました。自分で着られるようにならないとお店に出してもらえなかったんです。高校の時はバイトが経験として大きかったですね。先生と親以外の大人と関わることができて、学べることが多かったです。

関連記事