稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾、巻き起こす勇気の循環 「僕も負けてらんないね」――“進む厳しさ”を知るからこそ響く歌

 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が登壇する『東京2020パラリンピック 5周年記念スペシャルステージ』が、8月30日に迫っている。

 当日は、都民から寄せられたエピソードやメッセージを紹介しながら、『第16回夏季パラリンピック競技大会』(『東京2020パラリンピック』)を振り返るほか、パラアスリートによるデモンストレーションやトークショーも予定されている。そのなかで、多くの人の心を弾ませているのが、3人による「雨あがりのステップ」の歌唱だ。

新しい地図 - 雨あがりのステップ

 近年、3人そろって歌う場は、ファンミーティング『NAKAMA to MEETING』が中心となっている。だからこそ、一般に開かれた場で3人の歌声が響くパラスポーツ関連イベントは、ひときわ特別な機会に感じられるのだ。

 ファンミーティングでの歌が、会いに来てくれたNAKAMAへ届ける歌だとすれば、パラスポーツの場で歌う「雨あがりのステップ」は、そこに集まったさまざまな人をつなぐ歌。パラアスリートはもちろん、その家族や競技を応援してきた人、そして3人をきっかけに初めてパラスポーツに触れる人も……。それぞれ異なる思いを持って集まった人たちが、3人の歌をきっかけに同じ時間を共有する。それこそが、3人がこれまで生み出してきた“幸福感”の正体と言えるだろう。

「僕たちにとっても特別な歌」

 3人が歌う「雨あがりのステップ」が初めて披露された日のことを、今でも鮮明に覚えている。2018年3月、東京・駒沢オリンピック公園 陸上競技場で行われた『パラ駅伝 in TOKYO 2018』。新しい地図を広げ始めて間もない3人は、参加者たちに声援を送り、自ら走ってイベントを盛り上げた。その先に披露されたのが、待望の新曲「雨あがりのステップ」だった。澄んだ青空のもと、爽やかに吹く風を受けながら歌う彼らの姿に、立ち止まらずに動き出す勇気をもらった人も多かったはずだ。

 パラスポーツ応援チャリティーソングとなった「雨あがりのステップ」は、その後も3人によって『ParaFes』やパラスポーツ関連イベントなどで大切に歌い継がれてきた。2024年に披露した際には、草彅が「僕たちにとっても特別な歌」と表現していたのが印象的だ。そしてパラスポーツの場で歌うときには、普段3人で歌うときとは違い、「歌詞の意味がより前に出てくるように感じる」とも語っている。

 私たちが生きているのは、どうしたって勝ち負けができてしまう厳しい世界。だが、この歌詞に出てくる〈「僕も負けてらんないね」〉とは、勝者と敗者を隔てるものでも、「もっと頑張れ」と強く背中を押すだけの言葉でもない。誰もが特別で、誰もがそれぞれの新しい世界に飛び込めるのだと、励ましてくれる言葉として響く。この歌が、これほど胸を打つのは、3人自身の歩みとも重なるからだ。

 2017年に新しい地図を広げたとき、3人は“持ち歌ゼロ”という、それまでの活動からは考えられないスタートを切った。それでも変わらずにつながり続けた縁を大切にしながら、パラスポーツ関連のイベントに参加し、インターネットという新たな場所で笑顔を届け、舞台や映画などの作品づくりに励んできた。そのひたむきな歩みの先で、地上波テレビへの出演も少しずつ増えていくことになる。

 以前なら当たり前のように立っていた場所に、再び立つ。でも、それが単に「もとに戻ること」を目指した歩みではなかったことは、今の3人を見ればよくわかる。自分たちがやりたいこと、自分たちだからこそできることを模索し、その先にまだ見たことのない景色が広がっていったら――。振り返れば、そんな冒険のような日々だった。

3人が口にする次の夢

 2024年、音楽番組『with MUSIC』(日本テレビ系)に3人で出演した際、草彅は稲垣、香取と「(10年後は)東京ドームでコンサートしてる」(※1)と話し、スタジオには拍手が巻き起こった。さらに、今年公開された3人の最新映画『バナ穴 BANA_ANA』(正式表記はアンダーバーは穴の絵文字)をめぐっては、「3人でレッドカーペットを歩きたい」(※2)という思いも言葉にしている。

 そうした言葉に触れるたびに、彼らの立ち止まらない力強さを感じる。自分がやりたいこと、そうなってほしい景色を口にする。それが、たとえ時間がかかったとしても諦めず、地道に積み上げていく。「いっしょにがんばりましょう」と歩み続ける3人の姿が、誰かの勇気になってきた。だからこそ、この曲は3人が歌うたびに、じんわりと人々の心に染み入るのだ。

 それは、パラアスリートたちが見せてくれる勇姿とも通じているように思う。誰かが決めた限界ではなく、自分が望む次の一歩へ進むこと。その挑戦から周囲が勇気をもらい、また別の誰かが動き始める。

 パラスポーツとの関わりでも、3人は一方的に“応援する側”に立ってきたわけではない。ときには競技を体験して驚き、アスリートの言葉に刺激を受け、ともに笑い、最後には歌う。アスリートの挑戦から3人が力をもらい、3人の言葉や歌から観客が笑顔になり、その観客の声がまたアスリートへ届いていく。そこには、“応援する人”と“応援される人”という明確な境界はなく、〈「僕も負けてらんないね」〉という好循環が生まれるのだ。

 8月30日に歌われる「雨あがりのステップ」には、初披露した2018年から今日まで、3人自身が歩んできた時間も重なるのだろう。自分の道を、自分の歩幅で進む厳しさも、それゆえにたどり着く景色への喜びも、すべて抱えながら――。3人がステージの真ん中で歌うとき、みんなが少しだけ前を向き、同じ景色を見ることができる。そんなポジティブな光で、その場にいる一人ひとりを包み込む。それこそが、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が「雨あがりのステップ」を歌い続ける意味なのだと思う。

※1:https://realsound.jp/2024/09/post-1781803_2.html
※2:https://realsound.jp/2026/05/post-2395835.html

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