映秀。がありのまま走り続けた先で見つけた新たな地平 “いろんな人々”と音楽を楽しむワンマン『色祭』を観て
今年も映秀。の夏がやって来た。毎年恒例となっている夏のワンマンライブ『One Night Summer Live 2026 ~色祭~』を8月1日にSpotify O-WESTで開催したのだ。
『One Night Summer Live』も今年で3年目。オールタイムベストと言うべきセットリストに、久々に披露する懐かしい楽曲、そして5月の東名阪ツアー『Fly You to the Moon Tour』を経てアップグレードされた新曲の歌唱、さらには映秀。による勇ましい和太鼓の演奏も飛び出すお祭り騒ぎのイベントとなった。
2024年の『蝉に負けてちゃライブはできない!』、2025年の『音楽しようぜ』に続き、今回のライブタイトルの副題は『色祭』。映秀。がこの日のために友人の家の屋上で制作してきたペイントカラーのセットアップ衣装やグッズとして販売されているタイダイTシャツは今回のイベントを視覚的に表現したものであり、いろんなところから、いろんな思い、いろんな考えを持って集まった人たちと、一緒に音楽を楽しむ――「とってもカラフルでお祭りのような夜にしたい」という思いから、映秀。は『色祭』というタイトルにしたという。心のしこりが解れた時にこそ、その人らしさは輝く。歌詞を聴く、想像する、一緒に踊る、それぞれの楽しみ方で、肩の力を抜く時間にできたらと映秀。はライブに込めた思いを話す。
冒頭のブロックで披露された「脱せ」や「ほどほどにぎゅっとして」、新曲の「寄り道」やアンコールで演奏された「東京散歩」といった多くの楽曲に『色祭』に通ずる映秀。のメッセージはすでに込められている。例えば、アーティストが「愛してる」や「頑張れ」を様々な歌詞で多角的に表現するように、映秀。の根底にある思いの一つが自分の大切だと思えるもの、そのときめきを抱きしめるということだ。会場には浴衣で来た(おそらく)常連のファンもいれば、「映秀。のライブ始めて来るって人?」という問いかけに手が上がる場面もあった。印象的なのはその何人かのファンを映秀。が「よく来たね」と温かく迎え入れたこと。もしかしたらその人にとっては初めてのライブハウスかもしれない。「勇気のいることだから」と言ったその一言に、「寄り道」と似た映秀。の相手を思いやる気持ちを見た気がした。
ファンはアーティストを映す鏡と言うが、ライブ会場の温かさはどこか映秀。のアーティスト像をそのまま映し出しているように思える。1曲目の「誰より何でしょ 人より事よ」からコール&レスポンスが響き、「星の国から」ではタオルが舞い、「反論」「残響」といった抒情的なセクションではステージにじっと釘付けになって聴き入る。時には映秀。の歌詞間違えや曲への導入のMCを盛大に間違えても、“失敗は間違いじゃない”とばかりに優しく肯定する。そんな一見さん大歓迎といった会場のムードは、年一のお祭りである『One Night Summer Live』は特に色濃く形成されているのかもしれない。
演奏面では、バンドメンバーの杉村謙心(Gt)、山本修也(Ba)、山近拓音(Dr)、榎本響(Key)をそれぞれフィーチャリングするブロックがあった。2020年のデビューからおよそ5年。今では阿吽の呼吸で通じ合い、グルーヴを生み出す関係性となっている映秀。バンドだ。“ピュアグリーン”こと山本のベースをより際立たせたジャジーな「My Friend」をはじめ、榎本のキーボードが歌う「笑い話」、杉村のギターが火を吹く「全部しようぜ」、そして特筆すべきは山近のドラムにスポットを当てながら、映秀。が和太鼓を叩いた「喝采」だ。ライブのオープニングを飾った「誰より何でしょ 人より事よ」、アンコールラストの「失敗は間違いじゃない」、ちょうどライブ全体の折り返しにある「喝采」でも映秀。は小気味よく和太鼓を披露し、榎本による摺鉦の音色も合わせて、“祭囃子”アレンジとなっていた。
「全然やってなかった昔の曲」として歓声とともに始まったのは「i shadow」。デビュー初期に配信されたシングルで、アルバムには収録されていない“知る人ぞ知る”楽曲と言ってもいいかもしれない。バンドアレンジとなったサウンド、〈真夏の夜 留まる空気と左手に溶けかけのアイス〉という歌い出しに『One Night Summer Live』で歌うべき楽曲だったのだと気付かされた。
アンコールでは、8月28日に配信リリースとなる最新曲「虹色エール」が披露となった。今年2月に開催された『大阪マラソン2026』にOSAKA MUSIC RUNNERとして出走した映秀。。心折れそうになりながらも、沿道から聞こえる「頑張れ」の声が前に進む一歩、次の一歩になり、今度は自分がお返しする番という思いから映秀。はペンを走らせた。温かな、それでいて疾走感溢れるエール。サビは真っ直ぐすぎるほどの歌詞だが、そこに至るまでの過程には「涙のキセキ」や「寄り道」といった楽曲を彷彿とさせるメッセージも描かれている。映秀。が映秀。のまま走り続けた先で見つけた新たな地平――そんな予感を「虹色エール」は感じさせてくれる。
2027年1月9日には、新代田FEVERでの新春ワンマンライブ『新年FEVERしまSHOWTIME!!』の開催もアナウンスされた。2026年一発目のライブとして行われたワンマンライブの2度目の開催で、こちらも『One Night Summer Live』のように恒例になっていくのだろうか。来年のことを言えば鬼が笑うというが、それでも走り続けたいと背中を押してくれる力が、この日の映秀。のライブにはあった。
■セットリスト
One Night Summer Live 2026 ~色祭~
2026年8月1日(土)Spotify O-WEST
01. 誰より何でしょ 人より事よ
02. Boys & Girls
03. 脱せ
04. 第弐ボタン
05. 涙のキセキ
06, ハ茶メ茶オ茶メ
07. 黄色の信号
08. My Friend
09. 笑い話
10. 喝采
11. 全部しようぜ
12. 反論
13. 残響
14. i shadow
15. 星の国から
16. ほどほどにぎゅっとして
17. よるおきてあさねむる
18. Fly You to the Moon
19. 寄り道
- encore -
20. 東京散歩
21. 虹色エール(新曲)
22. 失敗は間違いじゃない
■リリース情報
「虹色エール」
8月28日(金)リリース
■ライブ情報
『新年FEVERしまSHOWTIME!!』
日時:2027年1月9日(土)開場16:30/開演17:00
会場:東京・新代田FEVER
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