Ado、自身のなかの“かいぶつ”を語る「エゴは悪いことではない」 『ブルーロック』主題歌「モンストロ」との共鳴

私は自由になれました。本当にそれが嬉しくて

――いい状態ですね。これは語弊がある言い方かもしれないんですけど、観ているこちらもすごく楽しかったんですよね。もちろん今までもAdoさんのライブは楽しかったんですけど、同時にすごいものを見せつけられるというか、突きつけられるというか、そういう感覚もたしかにあったんです。でも、今回もそれはありながらも、「一緒に楽しもう」みたいなムードが全体にあって。

Ado:はい。

――すごく自由になったなと思いました。

Ado:まさにその通りで。10代の頃の私は「自分の存在をみんなにわかってもらいたい」「みんなにこの気持ちをぶつけてやろう」という気持ちがすごくあったと思います。当時高校生だった私は自分が憎くて、怒りや悲しみ、苦しみなど、そういったものが大きな原動力になっていたので、「自分の歌でぶつかってやるんだ!」と思っているところがありました。そういう衝動で形成されたライブがこれまでは多かったと思います。もちろん今もそういう節はありますが、今回は全体として私自身のストーリーそのものでもあって。だから、本当に私は自由になれました。本当にそれが嬉しくて。

――うんうん。

Ado:そういった意味では、私が見せてきたライブのなかでいちばん楽しいものを体現できたのではないかなと思っています。

――本当にそうだと思います。そして、『Ao』でも披露した「モンストロ」が8月7日にリリースされます。映画『ブルーロック』の主題歌ということで、映画も拝見したんですけど、映画のテンションと曲のテンションがすごくマッチしているなと感じました。「踊」「唱」に続くGigaさんとTeddyLoidさんのコンビによる楽曲ということで、またすさまじい曲がきたなと思って。

Ado:私自身も、またとんでもない楽曲がきてしまったと思いました(笑)。

――はははは。

Ado:かっこよすぎて、最初聴いた時は私も「おお!」と思って。そのあとに「マズい、これを自分が歌うんだ!」と、ちょっと絶望するんです。「終わった……」みたいな(笑)。でも、それぐらい今回もパンチがあって、しかもラテン調ですし、「ついに私もこういう曲を歌えるんだ!」と思いました。

――冒頭から巻き舌全開で、まさにラテンの情熱的なAdoさんがいるんですけど、曲が進むごとにいろいろな表情が出てくる曲でもありますよね。Adoさんのなかではどういうふうに噛み砕きながら歌っていったんですか。

Ado:最初からザ・スパニッシュで、ラテンを象徴するようなギターから始まり、アカペラスタートの歌で見せるパートから始まるので、レコーディングもすごく気合いを入れて臨みました。もう心がポキポキ折れながらのレコーディングでした(笑)。それこそ巻き舌でしたり、スパニッシュの文化に対するリスペクトも絶対に入れておきたかったので、そのなかで私が持っている声のパワーもいろいろ混ぜていって。魂のような歌であってほしいなと思ったので、そういうふうに歌っていきました。レコーディングを終えてから、もっとスペイン語を勉強したいなとも思いました。文化の熱を感じられるような歌にしたいなと思っています。

『ブルーロック』が壊した概念、ほかとは“違う”理由

【Ado】モンストロ

――Adoさんは実際にスペインでもライブをしましたし、ラテンアメリカでもライブをやっているじゃないですか。現地のノリもやはり違いますか?

Ado:そうですね。スペインもすごいですし、メキシコやアルゼンチン、チリも、みなさまが私のライブにきたのではなくて、私がみなさまのライブにきたのではないかと思うくらい、熱意がとんでもなかったです。ライブが始まる前から盛り上がってくださって、すごいパワーを感じました。

――そういうのを実際に肌で感じたことも、この「モンストロ」を歌ううえで活きていますか?

Ado:すごく活きていると思います。スペインでも南米でも早くこの曲を歌いたいです。

――「モンストロ」が主題歌となっている実写映画『ブルーロック』からは、どんなインスピレーションを受けましたか?

Ado:もともと私は『ブルーロック』の原作やアニメのファンなのですが、この作品の面白いところは、これまでの少年漫画やスポーツ漫画の概念を壊しにいくようなところだと思っています。スポーツ系のアニメや漫画は、チームの友情や人間関係、ライバル関係が描かれている作品が多いと思います。チームとしての成長、主人公の熱いまっすぐな思い、太陽の光のようなスポーツの楽しい感情……読んでいてポジティブになるようなメッセージが込められることがこれまでの作品には多かったと思うのですが、『ブルーロック』は“味方も敵”ですよね。味方も倒していく精神が面白いなと思っていました。ストライカーとして生き残るために、主人公の潔も「黙れ」と吐き捨てるように言ったりして……とんでもない人だなと時々思うのですが(笑)、でもそこがやっぱり面白いなと思います。それに、『ブルーロック』のテーマとして挙げられている“エゴ”は、私のようなクリエイターやアーティスト、そして皆さんにも言えることだなとも感じています。

――そうですね。

Ado:『ブルーロック』で描かれる“エゴ”は、エゴを飼いならして、そのエゴによって成長して夢をつかみ取って、もっともっと上へ進んでいくという精神で。それがすごく勇気になります。だから、“エゴ”は悪いことではないですよね。私もそのようなエゴのあり方はすごくわかりますし、「いいな」とあらためて感じました。自分のなかに眠る“かいぶつ”、自分のなかに眠る自分の知らない欲望のような部分、そしてそれがどんどん相手を喰っていくような恐ろしさを、パワーとして歌で表したいなと思いました。

――潔はサッカーやっていない時はめちゃくちゃいい子なのに、サッカーをやり出すと豹変するんですよね。

Ado:そうですよね。試合中の潔は「俺がなんとかしてやる!」というような感じで、お母さんにトンカツを作ってもらって「ありがとう!」と言っている時とはまるで別人ですし(笑)。でも、それがまさに『ブルーロック』を表していますし、ほかのキャラクターも含めて、エゴがあるからこそそうなっていると思います。

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