JUNKY58%が目指す“自分たちだけのパンクロック” HEY-SMITH 猪狩秀平との制作、米ツアーで得た自信を語る
Green Dayや少年ナイフをルーツに持ち、型にとらわれない自由なパンクロックを鳴らす、まお(Gt/Vo)、もえ(Ba/Vo)、ちい(Dr/Vo)の3人からなるパンクロックバンド・JUNKY58%。最新EP『HEARTBREAKER』では、前作に引き続きHEY-SMITHの猪狩秀平をプロデューサーに迎え、3人それぞれの個性や歌心がより鮮やかに花開いた作品となった。
アメリカツアーを経てメンタルもタフになり、唯一無二の存在感を放ち始めた彼女たち。バンドの結成秘話から独自の楽曲制作スタイル、そして“逆輸入”を見据える未来への展望まで、等身大の言葉で語ってもらった。(編集部)
3人共通のルーツはGreen Day
――失礼ながら、今回初めてJUNKY58%の存在を知って音源を聴いたんですけど、めちゃくちゃカッコよくていいバンドですね。最近知ったバンドの中で一番響きました。
まお:えー!
もえ:ありがとうございます! 嬉しい。
――パンクロックの歴史にリスペクトを示すのと同時に、「そんなもん知るか!」と固定観念をぶち壊すような自由さもあって、そういうところがすごくいいと思ったんです。このバンドを始めるときに、3人の理想はある程度共通していたんですか?
まお:それは特になくて。私たちは同じ専門学校に通ってたんですけど、元々みんなバンド好きじゃなくて、バンドに関してはまったく無の状態でミュージックコースに入ったんです。それで、授業中に今みたいに3人で並んで座ってたら、「そこのお前ら、バンドやったら?」って先生から言われて組んだんですよ。で、当時先輩のとあるバンドがいたんですけど、その人たちがGreen Dayが好きで。そこでGreen Dayの存在を知ったので、私たちの始まりはGreen Dayなんです。そういう意味で3人のルーツは共通してますね。
もえ:だから、「こういうことがやりたい」でバンドを始めたというよりも、実際に始めてから「同じもの好きかも?」みたいな感じでした。
――皆さんのサウンドからは、Green Dayはもちろん、少年ナイフの要素も色濃く感じるんですけど、これはどういったきっかけがあったんですか?
もえ:あー、何で知ったんやろ?
ちい:あれじゃない? ライブハウスの店長が、「これ、ジャンキーに合うんじゃない?」って教えてくれたんです。それをきっかけに少年ナイフからも影響を受けるようになって、だんだんポップになっていきました。それまでは重ためのガレージ系だったんですけど、明るくなっていって。
――入り口はGreen Dayだったのに、最初に鳴らしたのはガレージロックだったんですか。
ちい:なんか尖りたかったんですよね(笑)。
まお:高校生のときなんで、若気の至りというか(笑)。
もえ:あと、Green Dayを好きやった先輩バンドが、ザ・Green Dayっていうよりも、もっと尖ってる感じでカッコよかったんで、先輩の音もリスペクトしてたんですよね。
――先輩のバンドからの影響もあったんですね。
まお:めちゃめちゃあります。今はもう、解散しちゃってるんですけど。
――今の話を聞いて知りましたが、3人は同級生だったんですか?
まお:そうです。でも、元々はみんな違う高校に通ってたんですよ。住んでる場所もバラバラで1ミリも接点はなくて。でも、みんなそれぞれ高校を中退して。で、さっき話した専門学校には高等部みたいなコースがあって、3人ともそこにたまたま同じ時期に入りました。そこからの知り合いなんです。
――これは個人的な感覚なんですけど、高校の同級生と組んだバンドがずっと続いていくパターン、最近よく見かける気がします。これってどうしてなんですかね。
もえ:でも、あたしらはあんまり高校の友達感はなくて、ほかの高校生の頃から続いてるバンドとはちょっと気持ちが違うと思うんですよね。あたしらは一緒にやりたいことをやれる人がおらんくて、ほかに選択肢がなかったというか。すごく言い方悪いですけど。
まお:正直、マジでこの3人じゃなかったら何もできてなかったやろうな、って思います。
――高校を中退しているという共通点もあるし、ある意味クラスメイト以上の繋がりがあるというか。
ちい:確かにそれはあります。
――話は戻りますが、先生から「バンドをやったら?」と言われるまで、皆さんは音楽にはそんなに興味がなかったんですか?
もえ:いや、みんな好きやったんですけど、バンドじゃなくて。簡潔にまとめると、みんなアイドルが好きで(笑)。
――それは面白い。
ちい:3人の唯一の共通点がオタクでした。ほかの生徒はみんなバンドが好きで、うちらだけアイドルのオタクやったんで、仲良くなりやすかった。
もえ:今はあんまり興味はなくなってるんですけど、バンドを始めるまではそうでした。
――最新EP『HEARTBREAKER』の収録曲だと、「Hey!ジョニー!」が……。
ちい:あ、オタクっぽいですかね(笑)。
――いや(笑)、他のパンクバンドが絶対歌わないようなことを歌っているところに魅力を感じたんですよ。〈私かわいい? 承認欲求止められない!〉とストレートに歌えるのがカッコいい。
まお:それはちいが書いた曲ですね。
ちい:私は根がロマンチストすぎて、この曲も架空のイケメン王子様に振り向いてほしいっていう気持ちを歌ってます。
――そういうキラキラした気持ちをパンクロックとして歌ってもいいと思えた?
ちい:23歳くらいの変な思春期の頃は恥ずかしかったんですけど、今はもう腹をくくって、かわいくいこう、自分のやりたいことをやろうって思ってます。
――パンクだと特に周りからナメられないようにする人たちが多いと思うんですけど、この曲はそういうことを気にしているように見えない感じがしていいなと。
もえ:全然ナメられたくないですけどね、私は(笑)。
――だったら、この世界観って歌えなくないですか?
まお:確かに。
――それを許容する何かが3人の中にあるのかなと。
まお:元々、この曲はちいがひとりで歌ってたんですけど、3人で歌ったほうがいいんじゃないっていう話になって。だから私たちはちょっと強制的に歌わされることになって……(笑)。
ちい:歌詞は猪狩さんにすごくご尽力いただいたし、猪狩さん要素が満載なんです。もちろん、この歌詞は猪狩さんが思っていることではないけど、私の気持ちを言語化していただいて。
――HEY-SMITHの猪狩さんは、前作『JUNKY BOMB』からプロデューサーを務めています。前作ではそこまで深く曲作りに関わっていなかったそうですけど、今回はしっかり参加しているんですね。
まお:前回は元々あった曲を編曲していただく感じでしたけど、今回はまだ世に出していない完全な新曲たちなので、猪狩さんと一緒に作った感じです。今回もいったん自分たちで作ったものを編曲してもらったんですけど、歌がまだちゃんと根付いてない状態やったから猪狩さんにがっつり変えてもらってるし、たしかに今回のほうが“猪狩さんみ”があると思います。
――いい意味で前作からの延長線上にあるような作品ですよね。それは、猪狩さんがJUNKY58%というバンドの性格をよく理解しているからなのかなと。
まお:そうですね、よくわかっていただいてると思います。編曲していただくときも、これまで私たちの引き出しにはなかったものを引き出していただいたような感じになりました。
――3人はこのバンドを組むまで音楽経験がなかったのに、全員が曲を書いて、全員がメインボーカルをとれるという。
ちい:我が強すぎて(笑)。最初は、ギターボーカルでベースがコーラスみたいな感じだったんですけど、最初から3人で曲を作っていたんで、「自分で作った曲は自分で歌ったほうが合うんじゃね?」みたいな。それで、3人ともボーカルをやろうって。
まお:なので、今では基本、その曲を作った人がメインで歌うって感じになってますね。
――そもそも、どうして最初から作詞作曲ができたんですか?
まお:最初はちいだけじゃなかったっけ? もえもやってた?
もえ:うん、最初はめちゃくちゃな曲だったんですけど、なぜかライブではちゃんと演奏できてて。でも、その頃から曲作りに関しては何もわかってないんですよ。感覚のまま進んできてしまっている。
まお:これ、3人みんなそうなんですよ。だからいまだに音楽理論とかコードとかよくわかってない。だから、曲を作るときもみんな鼻歌で録音してきて、「これに合うコード、これちゃうか?」みたいな(笑)。
――そして、猪狩さんとの制作を経ていろいろ学んでいくと。
ちい:そうですね、めっちゃ学んでます。
まお:今回も、自分たちって何も知らんねやなと思いました。