いきものがかり、『tiny desk concerts JAPAN』特別アレンジの裏側 「さよならララ」で目指した“広くて強い曲”の意図も語る
いきものがかり、『tiny desk concerts JAPAN』終演後インタビュー
――『tiny desk concerts JAPAN』お疲れ様でした。いつもとは全く違う環境でのライブだったと思いますが、まずは終えたばかりの率直な感想をお聞かせください。
吉岡聖恵(以下、吉岡):本当に特殊な環境のライブでした。でも、NHKの皆さんの熱気がすごくて、距離もめちゃくちゃ近いので、ものすごいライブ感がありました。演奏陣もギュッと密着して、全員で団子になって演奏する感じで。演奏スペースに入るまでにこんなにも通り道がないのも初めてでしたし(笑)、その分お互いにアイコンタクトも取りやすかったですね。
水野良樹(以下、水野):そうだね。音が止まった時に、お互いが息を吸う音も聴こえたりして。それって普段のライブでは絶対にないことなので、自分の生の声や生の音をダイレクトに感じながら歌う、初めての体験でした。
――観客との距離感という意味では、デビュー前の路上ライブに近い感覚もありましたか。
水野:路上ライブは確かに今回くらいの距離感でやってました。ただ、これだけ熱気のこもる室内での近距離というのは経験がなくて。路上の距離感とライブハウスの熱気がドッキングしたような感覚でした。
吉岡:路上っぽさもありつつ、でもやっぱりオフィスなんですよね。皆さんのお仕事中にお邪魔しているという。日常の空間なんだけど、ライブが進むにつれて皆さんの表情がどんどん緩んで笑顔になっていくのが見えて。その不思議さが面白かったです。
水野:あと、リハーサルの時から、これまで番組でお世話になったスタッフさんが声をかけてくれたりして。演奏していても「あの時一緒に頑張ったあの曲だ」という感じで見てくれてるのかなって。同窓会というか、親戚の集まりのような温かさがありました。
――今回、アレンジにはモノンクルのお二人(吉田沙良と角田隆太)が参加されていたことも新鮮でした。
水野:せっかくこういう普段ない環境なので、アレンジも普段ないものにしようという挑戦的な試みでした。昔から僕はモノンクルさんが好きで、僕らの企画アルバム『いきものがかりmeets2』に参加してもらったご縁もあって今回お願いしました。彼らなら僕らの楽曲の全然違う景色を見せてくれるんじゃないかと思って。
吉岡:だから1曲1曲、いつもとはちょっと違う印象でお届けできたと思います。「YELL」が手拍子の合うリズム感になっていたり、コーラスのアレンジも多彩で鮮やかになっていて。
――お二人が特に「生まれ変わった」と感じた1曲を挙げるとしたら?
吉岡:私は「笑顔」です。コーラスのお二人が、自分の声に自分でエフェクトをかけてだんだん小さくしていく手法を使っていて、これまでにないリラックスしたムードで歌えたので、曲に新しい風が吹いたなと感じました。
水野:僕は「YELL」ですかね。リズムがあれだけ変わってもコーラスのおかげでエモーショナルな部分がしっかり残っていて。参加してもらったミュージシャンにはジャズなどのバックグラウンドを持つ方も多くて、ジャンルを超えてJ-POPのメロディを共有できたことは自分たちにとっても大きな自信になりました。
「さよならララ」に込められた“今”届けたいメッセージ
――ライブでも披露されていた新曲「さよならララ」についてもお伺いしたいです。どんな制作でしたか。
水野:この曲はTVアニメ『さよならララ』のオープニングテーマとして、1年ほど前から制作がスタートしました。これまでもいろんなアニメの主題歌をやらせていただいていますが、原作のないオリジナル作品というのは珍しいですし、制作チームの熱量をすごく感じました。小出卓史監督とお会いした時、彼は会話の中で安易に頷くことをしない人だったんです。その様子に真剣さを感じましたし「この人は仕事に関して本当のことしか言わないんだな」と信頼を置けました。「このチームとなら面白いことができるんじゃないか」「一生懸命作ろう」と思わせてくれる出会いでした。
吉岡:『さよならララ』は人魚姫が主人公なんですけど、私は小さい頃から人魚姫のお話が好きで憧れていて、絵本をずっと持っていたんです。どこか報われないイメージのある人魚姫ですが、アニメの制作当時、まだ結末は決まっていないとお聞きして。もしかしたら監督は明るい方に光を当てたいのかなとも思ったので、ラストを見届けたいと思いました。それと、人魚姫なんだけど日本の琵琶湖にいてくれるんだっていうのが嬉しくて! ぜひオープニングテーマを歌わせていただきたいと思いました。
――物語としては人魚姫の禁じられた恋という主題がある中で、いきものがかりとしてどのようなメッセージを抽出し、曲にしようと考えましたか。
水野:人魚の世界では「やってはいけない」とされていることを自分の判断で選んで、突き抜けていくということが主眼にあって、それは歌のメッセージになるんじゃないかなと思いました。これは作品とは離れることですが、今はSNSなどで、コンプライアンスや多様性などと照らして「どれが正解か」ということにビクビクしたり、誰かの言葉をあたかも自分の言葉にように言ったりしがちな時代だと思うんです。だからこそ、自分でリスクを取って、自分で自分の幸せを選ぶということも難しい。それを極端な主義主張ではなく「私はこれが好き」「これを幸せだと思う」ということを素直に伝えて、そこには痛みや別れもあるということを優しいポップソングにまとめられたら、アニメが描こうとしていることともリンクするのかなと思いました。そして、途中で荒波が起こっても、最後には凪になって、まるで何もなかったように静かになる――その愛おしさや悲しさを表現をしたかったです。だからアレンジャーの亀田(誠治)さんにも、デモの段階から「最後は“凪”です」って伝えていました。一方で、吉岡には「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)のように明るく素直に歌ってもらうイメージでした。
――吉岡さんが歌詞の中で“特に伝えたい”と思ったフレーズは?
吉岡:いいなと思うフレーズはたくさんありますが、特に〈震えることも 美しくみえるの/だから大丈夫 醜さもわたし〉というところですね。リーダー(水野)が〈醜さ〉という言葉を歌詞に入れてくるのは初めてじゃないかな。結構強い言葉ですけど、自分のことを深く受け入れている証拠でもあると思うんです。なので、歌っていて自分自身のことを深く受け入れられる、生きていて救われる言葉だなと思いました。また〈変わらないのは旅が続くこと〉という歌詞には、どんな結末であっても続いていくという、前向きで強い意志を感じたので、強い声で歌いたいなと思いました。
淡路島でのMV撮影秘話
――MVでは、人が生み出すクリエイティブと自然の美しさが融合する映像が素晴らしかったです。どんな撮影でしたか。
水野:淡路島にある大石可久也美術館で撮影しました。4〜5年前に訪れたことがあって、ご夫婦が仲間たちと手作りで建てた美術館なんです。目の前に瀬戸内海が見える場所にあるので、曲とも繋がるなと思って。「また来ます!」って言って以来叶っていなかったので、このタイミングで「淡路島に行こう!」と。
吉岡:本当に気持ちのいい場所でした。丘の上から海を見下ろしていると、怒りなんて一切湧かないような、穏やかな気持ちになれて。旅をしているような感覚で臨めた撮影でした。
水野:淡路島での映像に加えて、この時代に「人間が手で作っている」という想いを映像に込めたくて、アニメ制作の現場も撮らせてもらいました。小出監督がロンドンにいらしたので、制作チームが現地まで追いかけて1泊3日で撮影してきた作業風景も入っています。
――「さよならララ」という曲を、どのような人たちに届けたいですか。
水野:曲を作っている時に、個人的なことなんですけど、年齢を重ねて“老い”を感じてきていて。それは自分の肉体だけでなく、親の老いだったり、みんなが月日を重ねて変わっていくことと、それでも生きていかなきゃいけないということを感じることが多くなりました。なので、いつもそのつもりではあるんですけど、素直に幅広い世代のいろんな方に届けたいなと思っています。路上ライブをしていた頃のように、老若男女、性別も年齢も関係なく。僕らが死んだ後も残っていてほしいと思えるような、広くて強い曲になったと思います。
吉岡:生きていく中で、どうしても自分が弱く思えることって誰にでもあると思うんですけど、それでもそんな姿に納得しながら次に進んでいくという静かな自信みたいなものがある曲だと思います。何かに迷いながらも「次に進んでみようかな」と思っている方にも、聴いてもらえたら嬉しいです。
◾️配信情報
『tiny desk concerts JAPAN』
NHK World Japan ビデオ・オンデマンドページから観る:
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/shows/tinydeskconcerts/
いきものがかり「さよならララ」/『tiny desk concerts JAPAN』でのパフォーマンス映像:https://youtu.be/A062cCxs0p0
◾️リリース情報
いきものがかり『さよならララ』
発売日:2026年8月26日(水)
商品形態:通常盤(CD)1,650円(税込)、初回生産限定盤(CD+Blu-ray)4,400円(税込)
予約リンク:https://erj.lnk.to/9GZ8Kw
表題曲「さよならララ」先行配信中:https://erj.lnk.to/uBLs02
<収録内容>
【CD】
01.さよならララ
02.さよならララ -instrumental-
03.さよならララ -TV Size-
他収録予定
【Blu-ray】
さよならララ Music Video / Behind The Scenes
オリジナルTVアニメ『さよならララ』ノンクレジットオープニング映像
他収録予定
◾️ツアー概要
『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2026-2027 超全国あんぎゃー!! 〜47都道府県ぐるっと日本一周しまSHOW!!〜』
開催中/ツアー&チケット詳細:https://ikimonogakari.com/tour2026-2027/
◾️関連リンク
いきものがかり オフィシャルサイト:https://ikimonogakari.com
いきものがかり X:https://twitter.com/IKIMONOofficial
いきものがかり YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCflAJoghlGeSkdz5eNIl-sg
いきものがかり note:https://note.com/ikimono_gakari/
吉岡聖恵 Instagram:https://www.instagram.com/kiyoe_yoshioka_official/
水野良樹 Instagram:https://www.instagram.com/mizunoyoshiki_teke/
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