WurtS × PEOPLE 1 × Chilli Beans. 3マンイベント『UPDATE 2.0』 同世代の絆、自らをアップデートし続ける3組の物語
7月9日、WurtS × PEOPLE 1 × Chilli Beans.共催による3マンイベント『UPDATE 2.0』が、東京ガーデンシアターにて開催された。それぞれ音楽性は異なるものの、同じ時代に音楽を鳴らす同世代の仲間として、共鳴し合い、刺激を与え合いながら、互いに切磋琢磨し続ける3組。この座組の3マンイベントの実現は、昨年7月の『UPDATE』に続き今回が2度目。筆者は、昨年の『UPDATE』を観た時、この3組によってアップデートされ続けていく日本の音楽シーンの未来は間違いなく明るいと強く感じた。そして、今回の『UPDATE 2.0』を観て、その確信はさらに深いものになった。以下、順を追ってレポートしていきたい。
1番手は、6月29日のファンクラブ限定ライブをもって約5カ月間にわたる休養から復活したばかりのWurtS。オープニング映像の最後に「THE RETURNS」という文字が大々的に映し出された瞬間、会場全体から歓喜の声が沸き立ち、彼にとっての第二章の開幕を告げるライブがスタートする。1曲目の「魔法のスープ」を終えると、立て続けに「ふたり計画」「クラッシュ」を披露。並々ならぬ熱量が滲む歌声、全身から放つ覇気のようなオーラに、序盤からがっつり圧倒される。キャップを被っているため表情は見えないが、彼が今回のステージに懸ける気合いがありありと伝わってきた。最初のMCパートで「やっと帰ってきました、みんな、ありがとう!」と感謝を告げたWurtSは、続けて「話したいこと、伝えたいこと、届けたい音楽がたくさんある」と前置きしつつ、「まだみんなに届けられていなかった曲」として、今年の1月にリリースした「SOMEDAY」を披露した。〈SOMEDAY/巡り巡り巡って/やっと花は芽吹いて/君と今を迎えて、少し笑う〉というラインが、まるで再会のアンセムのように晴れやかに響いていて、とても感動的だった。
中盤のMCパートでは、復帰してすぐのタイミングで『UPDATE』を迎えられた歓びを伝えつつ、「もっと頑張ろう、もっとアップデートしようと思える」と胸の内の想いを明かした。
ここから『UPDATE』だからこその特別な展開へ突入。「タイムラグ! feat. Moni (Chilli Beans.)」ではMoniとの共演、続く「リトルダンサー feat. Ito (PEOPLE 1)」ではItoとの共演が実現。同曲の曲中では、「WurtS君、おかえり!」と叫んだItoがWurtSと抱擁し合う一幕もあった。ラストは、「自分のアップデートとして、新曲を歌って帰りたいと思います」と告げ、第二章の開幕を象徴する新曲「INSIDE」を披露した。今こそ、自分自身を解き放つーー。雄大なスケールの中で届けられる高らかな宣誓のような響きの歌が深く胸を打った。総じて、彼の今後の活動への期待が際限なく高まるような素晴らしいステージだった。
2番手は、PEOPLE 1。1曲目は、5月に約1年半ぶりにリリースした復活のナンバー「金字塔」。鮮烈に揺るぎなく響くIto(Vo/Gt)の熱唱に、一人ひとりの観客の歌声が分かちがたく重なっていく。会場全体を満たす熱き一体感。さながらクライマックスの様相だ。Itoが「今日はどんな気持ちで来ましたか? アップデートするつもりで来ましたか?」と問いかけた後、「メリバ」を、そして、元の音源から文字通り大胆にアップデートされた「新訳:スクール!!」を披露。同曲では、Takeuchi(Dr)がハンドマイクでステージの縁まで繰り出し、WurtSのファン、Chilli Beans.のファンを含め、会場全体を容赦なく煽りまくる一幕もあった。
その後も、「夏は巡る」「DOGLAND」「銃の部品」が立て続けに披露されていき、ここでDeu(Vo/Gt/Ba/Other)が、「去年(の『UPDATE』では)、新曲なかったけど、今日は新曲ありまして」と前置きした上で、「金字塔」に並ぶもう一つの新曲「生活」に込めた想いを明かし始めた。ものづくりは、一見華やかに見えるかもしれないけれど、地味で、大変なことの繰り返しで、そんな自分の生活を誇れるかといえば決してそんなことはない。それでも、こういう仕事を自分で選んだのだから、この生活を愛したい。愛することは難しいかもしれないけれど、まずは、そう歌ってみたいーーそう語った後、同曲を披露。Deu個人の心境を描いた非常にパーソナルな歌ではあるが、一人ひとりの観客の歌声が重なることによって〈僕らの生活〉の歌へと昇華されてゆく展開に、思わず息を呑んだ。いよいよラスト1曲。スクリーンに、「UPDATE NOW」という文字と共にゲージが映し出され、「COMPLETE!」という表示を合図に、「エッジワース・カイパーベルト」へ。同曲の終盤では、WurtS&ウサギのDJがステージインし、観客と共にタオルを振り回しまくる。まさに『UPDATE』だからこその光景。万感のフィニッシュだった。
トリを務めたのは、昨年のWurtSに続き、今年の『UPDATE』のホストを務めたChilli Beans.。ドラマーとキーボーディストを迎えた5人編成によるステージだ。Moni(Vo)が「今日は最後まで一緒に楽しんでってください」と呼びかけ、年明けにリリースした「star flower」からライブがスタート。煌びやかな輝きを放つLily(Gt·Vo)のギターの調べによって、瞬く間に会場全体に幻想的なフィーリングが広がっていく。そしてMoniは、まるで音の海の中を自由に泳ぐように、ハンドマイクでステージを軽やかに往来しながら歌う。続いて、「School」「that's all i can do」を披露。曲調は軽快で、それぞれの曲からはカジュアルでラフなバイブスが伝わってくるが、各曲の奥に滲む情熱や切実さも豊かな実感をもって感じられてとてもグッとくる。
最初のMCパートでは、Maika(Ba/Vo)が、昨年の『UPDATE』について振り返りつつ、「WurtSさんのファンも、PEOPLE 1さんのファンも、Chilli Beans.のファンも、本当にあったかいよね」と告げ、観客から温かな拍手が送られた。続けて、同じ時代、同じシーンに、WurtSとPEOPLE 1がいることについて、「心強い」と語った。3組の絆の深さが伝わってくるMCを経て、「See C Love」からライブが再開。次第に広がっていく妖艶な世界観。「cyber」でさらにディープゾーンへ突入。そして、前の2曲を通して沸々と高まり切っていたエモーションが、「pain」で一気に爆発。一転して、「yesterday」「ひまわり」では、Moniが誇る凛とした唄心が会場全体を優しく包み込んでいく。夢うつつを彷徨うようなドリーミーなサウンドの中で、次第にドラマチック&エモーショナルに躍動する「just try it」も忘れがたい名演だった。
「Tremolo」「HAPPY END」で本編を締め括った後に迎えたアンコールでは、Maikaが「おいで、おいで~」とWurtSとPEOPLE 1を呼び込んだ。そして、今年の『UPDATE』のために、ホストを務めた自分たちが主軸となってコラボレーション曲を作ってきたことを明かした。作曲を務めたMaikaは、「みんなといる時のわちゃわちゃ、学校でわーわー言ってる感じ。カラッとした風が吹いてる感じをイメージしたんですよ」と語り、作詞を務めたMoniは、「2組への感謝ではないんだけど...…一緒っていうか、ありがとうっていう気持ちを込めた曲ですね」と明かした。そして、全員横一列に並び、この日のために制作された新曲「Feel like slowing down feat. WurtS, Deu, Ito, Takeuchi (PEOPLE 1)」」を披露。ピースフルな開放感に満ちた晴れやかなポップソングで、〈肩を並べて行こうよ〉というラインから、3組同士の繋がりの深さが改めて感じ取られる。ライブ後には、早くも、来年7月に『UPDATE 3.0』を開催することが発表された。日本の音楽シーンを、そして、自分たち自身を絶えずアップデートし続ける3組の物語から、引き続き目が離せない。