9割の“ファン以外”に届ける大型音楽特番の意義 フジテレビD 島田和正に迫るテレビとアイドルの関係性
理想はSUPER EIGHTやAぇ! groupの女性版? 未来のアイドル像
――では、いわゆるJ-POPやロック、ボーイズグループらが多数出演する今の音楽番組の中で、女性アイドルグループが担う役割や求められているものは、どんなところなのでしょうか?
島田:いろいろありますが、アイドルは誰かにプロデュースされていて演じる部分も大きいので、シンガーソングライターやバンドのような、自らのリアルをそのまま表現するタイプのアーティストに比べて、テレビ的な演出をかけやすいということがあります。かつ、SNS主流の世の中において、彼女たちはもちろんSNSを駆使していますし、流行にも敏感なので、流行を表現しやすいといった強みもあると思っています。
先日、『STAR』という音楽番組に超ときめき♡宣伝部が出演した時に、「setlog」というアプリにハマっているという話題になって、そこにいる出演者もスタッフたちも一斉に「setlog」を知るわけですよ。さらに、それをオンエアすることで世の中的にも一気に知れ渡ることになるので、「トレンドを、説得力をもって伝える」ことがメディアに出る女性アイドルの重要な役割なのかなとは思いますね。
――音楽番組でたくさんのアイドルグループと仕事をしていて、『TIF』などライブイベントの現場にも足を運んでいる島田さんが、今後のアイドルシーンに期待することはどんなことでしょうか?
島田:僕たち音楽番組を作る人間は、例えば“80年代のヒットソング”をテレビで放送して今の時代に伝えるという仕事もあります。そういう意味では、40年後にもテレビで流れているような曲がアイドルシーンからも出てきてほしいなと思います。実は女性アイドルグループの曲ではAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」以降、老若男女問わず愛されて、そのレベルで確実に後世に残るだろうなというアイドルソングって意外と出てきていないなと思っているので。本当に何も知らない人にまで浸透する曲というのは、好きな人が好きなものを聴くインターネット時代には最近出づらいし作りづらいのかなとも思いますけど、そんな状況下だからこそテレビが関わっていかなきゃいけないとも思っています。先日の『2026 FNS歌謡祭 夏』の「好きすぎて滅!」のM!LKと宝塚歌劇団 花組のコラボはいろいろな人から良かったと言ってもらえたのですが、そういう「人と人を繋げること」も大事にしていけたらいいなと思います。
――ありがとうございます。今回は『TIF』をきっかけにして、アイドルシーンについていろいろお話を聞かせていただいたので、最後にぜひ、今後『TIF』からどんなグループが出てきたらアイドルシーンがより面白くなるか? テレビマン的視点で教えてください。
島田:フジテレビの音楽番組は歴史的に、生演奏やコラボを大事にしているので、グループの中にひとりでも先輩アーティストとコラボできるような人がいたら面白くなるでしょうね。たとえば、アイナ・ジ・エンドさんのような存在がグループの中に複数いたら最高ですよね。あとは、先ほどのM!LKと宝塚もそうですが、僕たちテレビの人間の音楽業界的な存在意義は「人と人を繋げる」ことと「音楽を後世に伝えること」にあると思っています。
最近だと、『2026 FNS歌謡祭 夏』で郷ひろみさんとJuice=Juiceがコラボしたのですが、そうすると、本人たちの繋がりと同時に、「こんなにもいい曲があったんだ」と郷さんの音楽世代ではないJuice=Juiceご本人たちに伝わったりするわけですよね。そんな風に音楽は語り継いでいけるので、テレビマンとしては、現場に立って音楽を吸収して次の世代に繋いでいけるようなアイドルを求めています。たとえば、歌が上手で、楽器も弾けて、ミュージカルもできるいくちゃん(生田絵梨花)みたいな人ですよね。最近はブラスとアイドルを融合させたスタイルのCiONのようなグループもいますけど、楽器ができるアイドルも魅力的だなと思うので、SUPER EIGHTやAぇ! groupの女性版みたいなグループが出てきたら、テレビ的にもっといろいろできるかもしれないなと思っています。